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つかの間の平穏

読んでくださるとありがたいです。

「おれの。おれのおれのおれのおれのおでのおれのお〝れのおれのおれ〝のおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお。」


 あれだけ攻撃していたのにも関わらず、まるで大事だとでもいうように少しでも乱暴に扱えばすぐに崩れてしまうだろうに解体しながらもピクリとも位置をずらさなかった躯を、ぐしゃりと握りつぶした。

 だめだこりゃ。もはや正気ではない。いや、あの状態を正気であったかと問われると首を傾げざるを得ないし、今の状態がモンスターとしては正しいのだしこれまでに戦ってきたモンスターとも同じような感じであったし。

 でも、それでも。

 俺があの言葉を言ってしまうまでは、まだ一貫性はあったのだ。あのモンスターに娘とよべる存在がいて、それを直すために体の構造を調べているとでもいうような。理性というにはあまりにもつたないが、確かに存在していたのだ。


 そのことに、途轍もなく嫌な想像ができてしまうのだ。


 その後はいつものように作業になってしまっていて、俺が気がついてしまったことにみんなは気づいていないのか、それとも気づいた上で考えないようにしているのか、人数は一人減ったがいつもと同じように片付いた。


 モンスターがうなり始めてから、至近距離からの玄人じみた体術を繰り出していたのをやめてこれまでの戦闘と同じように距離を置いて火の玉を投げつけ始めたキュウに、誰も何も言うことはなかった。


 そうして俺らは初めて人が死ぬところを見て、俺たちのしていることは命の奪い合いであると、本当の意味で理解し始めた。


 俺らはただ命を奪っているだけなのだとわかっていた。


 それでもやることは何一つ変わらなくて。やっていることは何も変わらなくて。


戦って。

仲間が死んで。

戦って。

モンスターを殺して。

戦って。

血が流れて。

戦って。

新しい仲間が来て。

戦って。

仲間が死んで。

戦って。

また仲間ができて。

戦って。

心が悲鳴をあげて。

戦って。

モンスターを効率良く倒せるようになって。

戦って。

戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。


 疲れた。


「ねえ、政府はさ。いったい、何がしたいのかな。」

 隣で何も変わらずにニコニコと笑み崩れているキュウに問いかける。


 キュウはどこから情報を仕入れてくるのか、結界内部のことを語ってくる。日々の雑談の中で積み重なっていくそれは、澱のように胸の奥に少しづつたまっていった。


今まででも減っていたのに、そこからさらに段々と赤子が生まれなくなっていること。

モンスターが強くなっていること。

モンスターの数が増えていること。

仲間が大勢死んでいくこと。

新しく入ってきた新人は能力が強いこと。


そういうことが、ずっとずっと続いた。

雑談の中で愚痴のように言われる真実は、変わることはなかった。

そうしてとうとう、言われてしまった。


五か月前から、新しい人類の命の数は増えていないこと。

結界の中にいる人類は、もう、勇者に選ばれた人類の役50倍程度しかいないこと。


つまり人類は1万と二百人から減るばかりであるということ。


モンスターの数は増える一方であり段々強さを増している事。その総数は把握できず、だが結界に生息域が近づいてきていること。


人類はもはや、絶滅寸前であること。


気がつけば、二年経っていた。


日常から人類滅亡まで、二年しかかからなかった。


二年もの間で、俺は大して変わることができなかった。


そんなことを理解しながらも、しかしやることは何も変わらなかった。

戦って。

仲良くなったキュウと喋って。

戦って。

訓練して。

戦って。

仲間が死んで。

戦って。

仲間が増えて。

戦って。

キュウと喋って。

戦って。

血が流れて。

戦って。

仲間が増えなくて。

戦って。

訓練して。

戦って。

戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。

戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。戦って。


そうすることでしか、息ができなかった。


無駄であると自覚しながら。


それでも、変わらずに行動を重ねることしかできなかった。


モンスターとの戦いの回数が一週間に六回に数が増えてから一か月が経っていて、多分もう限界だった。限界に限りなく近かった。その空気はきりきりと張りつめた糸のようで、何かきっかけがあれば切れてしまうことはわかっていた。


ずっと、目をそらし続けていた。そんなわけないって思いたかった。


でも、それが真実なのだと知っていた。


だからこれは、真実だとわかっていて見ないふりをしていたそれを目の前に突き付けられただけで、本来ならばそこまで取り乱すようなことではなかったのだと思う。


でも、張りつめた糸がちぎれるには充分すぎた。


そしてそれはやはり、何でもないような戦闘から始まるのであった。


こうして、薄氷の上に欺瞞で成り立っていた仮の平穏は崩れたのだ。


最後までお読みいただきありがとうございます。次の話も読んでくださるとありがたいです。

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