248 ハヌマーン再び
【ハヌマーン再び】をお送りします。
宜しくお願い致します。
巨大な六本の足は、爪を地面に打ち込みながら、その銀色に輝く装甲を上下に動かし、木々を薙ぎ倒しながら真っ直ぐにゴドラタン帝国軍に向かって来る。そしてフェルミナが聞き覚えのある、あの金切り声が戦場に響き渡った。
ギィィィイイイイイイガァァァアアア!!!!!
「間違い無い。ハヌマーンだ。まだ個体が残っていたのか?! 」
そう呟くフェルミナの側に、人の気配が突然現れる。
「間違い無いな。忘れたくても忘れられん」
ヨシア・グローリアスは、左手に持った弓を構え、三本の矢をつがえて、つるを引き絞った。矢の先端に金色の光が集約してゆく。
「妖弓【日輪】!! 」
一気に放たれた矢は、魔法の力で音速を超えて飛ぶ! それがハヌマーンに直撃した瞬間、炸裂音と衝撃波が、周囲に伝わった!
さらに舞い上がる砂埃のその奥に、やはり赤い光が見える。
「全く効いてないな。たしか超帝国時代の失われた金属【ヒヒイロカネ】製だったか? 」
「アレに物理攻撃は無駄だ。それに、当時のクライン殿下と、化け物みたいな平将門とかいう召喚者が、二人がかりで苦戦した相手だ。奴の装甲を破壊することは出来ない。やはりクライン殿下がとった方法が最善か」
「精神攻撃か? だが? 」
「ああ、我らラウンズでは無理だ。悔しいがクリスが来るのを待つしか無い。奴の足止めをするぞ! ミラン、アトワイト、ソリウリス、でるぞ!! 」
「偉そうに言うな! 我は皇帝陛下と女神様のみに仕える。それにクリス様と言え! 」
ソリウリスが文句を捲し立てる。以前、大空洞でナルザラスと戦うクリスを見てから、ラウンズ左翼は信服しているのだ。
「わかったわかった、その女神様が来るまで時間を稼ぐぞ」
◆◇◆
織田信長軍の小高い陣と、岩山の大空洞入口前に布陣するゴドラタン帝国近衛騎士団。その両方を見渡せる岩場の影に、ビリー・ザ・キッドは位置取りした。以前、ヒロトにわけて貰った亜空間収納ボックスから、【魔導式超電磁加速粒子砲】を取り出して、硬い岩盤に固定した。
「?! 信長の陣? なんだありゃ〜」
織田信長軍から、巨大な機械仕掛けの化け物が三機、ゴドラタン帝国軍に向かって進撃を開始した。
「前に【ロードグランデ大迷宮】で遭遇した機械蜘蛛に似ているだが、あれより重装甲だなや〜」
だがあれは無視するしかない。あれを攻撃すれば、信長は警戒してしまう。奴が興味を示して立ち上がり、前に出なければならない。
「我らも位置に着きます」
黒い統一された服装の一団が、ビリーを取り囲む。
「我ら六人、やっと御恩をお返しする日が来ました。これも全てビリー殿のおかげ」
「よせやい……オラ、自分の中のケジメを付けたいだけだなや〜」
「我らとて同じ事。尊師より受けた御恩は、海よりも広ろうございます。あのお方のおかげで、我らの魔導は百年は刻を進める事が出来た。いまその御恩に報いる刻と心得ます」
黒装束の六人は、それぞれが一級の魔導士だった。みな覚悟は初めから出来ているとばかり、転移の魔法で配置場所に飛ぶ。
「……硬いだなや〜。オラ、やっぱり硬いノリは無理があるだよ〜。そうだろ? メイデル……」
この場に居ない部下の名前を呟く自分に、思わず苦笑いした。
◆◇◆
「奴の足を止めるぞ! 各部隊は、第二防衛線まで下がれ! ここは、ラウンズだけでやる! 」
フェルミナは真っ先に先頭のハヌマーンの攻撃範囲内に飛び込んで、ハヌマーンの足元の地面に向かって爆裂魔法を放つ! その凄じい爆裂の威力で、地面を爆発させ、ハヌマーンの体勢を崩しにかかる。
「地血槍!!! 」
ソリウリスが地面に槍を突き刺すと、それが数十本の槍となって、ハヌマーンの足元から突き出てくる。土で出来た無数の槍先が、ハヌマーンの装甲に吸い込まれるが、ハヌマーンはまったく動じない。
「傀儡結界【極】!! 」
ミランが心象結界を展開し、ポシェットから三体の人形を放る。
それぞれが、巨大な蟻の傀儡人形となり、ハヌマーンに襲いかかった。
「よけろ!! 攻撃が来る!! 」
フェルミナが叫ぶと同時に、ハヌマーンの赤く光、目の様な部分から、超高温度のビームの奔流が発射された!
【ハヌマーン再び】をお送りしました。
(映画【銀魂】を観ながら)




