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242 皇帝の覚悟

【皇帝の覚悟】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 その報がもたらされのは、その日の夕刻であった。

 ゴドラタン帝国国境に攻撃を開始したブランデン王国軍が、突如その軍を後退させたかと思った次の瞬間、数万の魔族の軍勢が現れた。その表現通り、突然現れたのだ。



「その殆どはレッサーデーモンですが、その中には群を統率するグレーターデーモンも確認されています。その数は約二万」

 何度目かの伝令兵がもたらした報告に、諸将は言葉を飲み込んだ。



「我が第一軍と、第四軍の戦力を入れ替えて対処する。宜しいですね? 」

 ライラック・バルバロッサは側の金髪の女性に目配せする。



「我が帝都防衛騎士団がアヴァロン防衛の任につく。奴らの目的はアレだろう」

 フェルミナ・マッケローニは後手に回った事を後悔していた。もっと早くからわかっていた事だった。



「あの信長と言う男、よもや魔族を従えて来るとは……第二軍を帝都に下げて勝算はあるのか? 」

 第三軍のルワン伯爵は戦闘に関しては有能な男だが、貴族主義に凝り固まり、古き血筋【オズ】至上主義を掲げる派閥に属する。事あるごとに改革派のジークフリードと、その関係者に厳しくあたる。



「騎士団長が戻られるまでの辛抱ですわ」



「ふん! どうだかな。皇帝陛下への謁見にかこつけて、安全な後方に戻られたお人だ」



「貴公、不敬であろう! 」



「いや、つい口が滑った。今のは忘れて頂こう」

 そう言いつつルワン伯爵は席を立ち、会議は終わりだと、幕舎から出て行った。



「……そんな事より、魔族の軍への対策が肝要だ。地の利は我らにある。それを最大限活かした作戦を練る」

 魔族の軍の後には、ブランデン王国軍の主力も控えている。あまり刻は無かった。





◆◇◆





 帝国城塞都市スタージンガーでは、迫り来るブランデン王国軍への対応に追われていたが、現在は近衛騎士団も出払い、宮殿内の謁見の間は静まり返っていた。その玉座の前で一人の騎士が跪く。



「陛下、ナターシャ様の事は……」

 ゴドラタン騎士団団長のジークフリード・ランドルフ伯爵は、苦渋の決断をゴドラタン帝国皇帝に上奏する必要に迫られていた。



「……わかっておる。皆まで言うな。俺と貴公の仲ではないか。苦しい立場に置いてしまい、済まないと思っている」

 金髪碧眼の美青年は、眼を瞑り、そしてゆっくりと話し始めた。



「もし、アヴァロンの前にナターシャが現れたならば、これを討ち取る」



「……陛下……」



「ナターシャが巫女の神託を受けたその日から、この様な事が起こる予感はあったのだ。其方には国境防衛を任せる。俺はこれよりアヴァロンの元に行く……」

 ゴドラタン帝国皇帝グラウスは、玉座より立ち上がり、その瞳には既に迷いは感じられ無かった。



「ならば、ラウンズをお連れ下さい」



「任せるよ。だが貴公らだけで大丈夫か? 」



「我とライラックだけで十分です。支えて見せましょう」



「すまぬ。甘えるばかりの皇帝と笑うがいい」



「滅相もない。ヒロト殿も援軍として参陣されます」

 その言葉に踵をさえして、グラウス皇帝は謁見の間から出ていった。




◆◇◆




「ブランデン側の砦は全部で四つだ。ここと、ここ、二つを制圧すれば補給は断てる。これで敵銃撃部隊を封じ込めれる筈だ」

 ヒロトは戦略地図を前に、皆に今作戦の概要説明を行った。砦制圧の為に、総司と斎藤の二つの大隊をあてる。



「敵デーモンの部隊の侵攻を流せばいいんだろ? 」

 ワイアット・アープは、地図に置かれた紅い駒の側面に自軍の駒を進める。



「そうだ、側面攻撃を行う。正面はゴドラタン第一軍が防ぎ切る。その間に俺たちは後方の敵銃撃部隊を殲滅する」

 それはビリーの部隊を潰すという事だ。



「……ビリー隊長はどうされるのですか? 」

 ワイアットの副官であるメイデルは、やはり割り切れなかった。



「ビリーさんには僕がもう一度話しをする。何か事情がある筈なんだ。こんな事はビリーさんらしく無いよ」

 総司がメイデルに言い聞かせる。だが根拠に確証はなかった。

【皇帝の覚悟】をお送りしました。


(映画【キングダム3 】を見ながら)

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