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236 蒼き狼

【蒼き狼】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 「き……き、貴様らでは……【パンデモニュウム】をコントロールすること……は、出来ぬぞ! 」

 エメラルダスの身体が爪先から段々と光の粒子に変化し始めた。



「やってみなければ、わからんだろ? 人が作った物を動かすだけだ。うちの大将は、そう言う意味では天才なんだよ」

 


「……先に……エヌマ・エリシュで……待っているぞ……身体の一つを……無くしたぐらいで……」

 クラビスは、最後にエメラルダスの邪悪な笑みを見た気がした。



「身体の一つだと? 」





「ぐふぅ!! 我は、倒れぬ!! 」

 血みどろのチンギス・カァンが、また一体の鬼神の頭を潰した。身体をいくら傷つけても直ぐに再生するが、頭を破壊すれば倒せる事がわかった。



「貴様の役目は終わりだよ。巫女は頂く」

 カズキが上段から一閃すると、チンギス・カァンの左腕が付け根から斬り飛ばされた。



「ぐぅ! 」

 次の瞬間、チンギス・カァンの口元の歪みをカズキは見逃さなかった。



「離れろ!! 何かする気だ! 」

 朱雀が叫ぶ! チンギス・カァンの体内に、凄じく圧縮された神霊力の高まりを感じた。



「死ね! 我が内なる力で消し飛ぶがいい!! 」

 チンギス・カァンの身体が銀色に輝きはじめる。

 走馬灯の様に、記憶の奔流が脳内を駆け巡る。仲間達と草原を駆け巡ったあの日々。家族を守る為に他の氏族を倒し、吸収し、そして国を作った。さらに他国を滅ぼし大陸の端まで駆け巡った。中華の皇帝を倒し、自らはその皇帝の上に君臨した。だが、虚しさだけが残った。友や、恋人は先に天に登り、自分だけが残った。病を患い、死を待つだけだった自分が、いつしか異界の地に飛ばされた。もう一度、やり直せると思った。新たな友と世界を駆け巡り、自らが皇帝とならず、心底、巫女の為に戦った日々は、いつしか掛け替えのないものとなった。巫女と初めて謁見した時、我が目を疑った。そこには死んだ筈の最初の妻が立っていたのだ。幼き頃に恋焦がれた……生まれ変わりだと思った。それだけで充分だった。




「無駄だ」

 カズキが展開した球状結界に全てのエネルギーを封じ込められ、チンギス・カァンは爆散した。だがまだそのエネルギーの奔流は止まらない。



「エンプレスフレア」

 そうカズキが呟くと、結界内に黒い焔が広がり、チンギス・カァンのエネルギーを包み込み、そして喪失した。




 何処かで狼の鳴き声が聞こえた様な気がした。






◆◇◆



アメリカ合衆国ハワイ諸島某所



「これはあくまでも仮説だがな……」

 九条立花(クジョウリッカ)は大きなあくびを一つしてから、話し始めた。

 この会合に集まった面々は、アメリカ軍環太平洋艦隊司令をはじめ、その参謀連、日本からは防衛軍参謀部の面々が集まっている。



「アレが何処からエネルギーを供給しているのか考えてみた。人間の魂だ」



「魂?? ソウル? 」

 環太平洋艦隊司令のストライカー大将は鳩が豆鉄砲を喰らった様な顔をした。



「ああ、ソウル、魂、霊魂とか、生命エネルギーだとか、宗教によっても言い方や認識は様々だな」



「あれが、そう言う存在だと? 」

 高柳幕僚長は、段々嫌になって来た。すでに人智を超えている。



「馬鹿馬鹿しい! MITを十五歳で首席卒業した秀才が、そんなオカルトじみた事しか言えんのかね? 」

 米軍の参謀部から異論が噴き出した。



「なら、あの現象をどう説明するのさ? 奴のフィールド、ここでは【卵】と呼称するけど、その近くでは魂と思える物が肉眼で確認出来る。あれはプラズマとかそんな物じゃない。それが大量に集まって来て【卵】に取り込まれている」



「それに関しては私からご説明しましょう」

 黒い法衣を着た白髪の男が話に入ってくる。



「アルザス枢機卿、アレが魂だと? 」

 ストライカーは、この場に場違いな男の発言を促した。彼がこの男をこの場に招いたのだ。



「魂と言う言葉が正しいかはわかりませんが、霊的なエネルギーである事は確かです。我らクルセイダース達が使う技にも霊的な根源の力を使うものがある」

 そう言いながら緊張感も無く微笑んだ。


【蒼き狼】をお送りしました。


(映画【蒼き狼】を観ながら)

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