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234 これでも喰らいな!

【これでも喰らいな! 】をお送りします。


宜しくお願い致します。

「【八極拳】を絶技にまで昇華させた【神槍 李書文】の最後の直弟子の【劉雲樵】に、おれは五歳の頃、台湾のスラムで拾われた。そこから毎日、技を叩き込まれたんだ………それを初見でいなしただと?! 」

 屈辱以外の何者でもなかった。流派すら持たぬ男に、

 


「流派はないが、儂の術はその昔、達磨大師が天竺より少林寺に伝えた身体操法が、神仙術と同化した技じゃ。貴様は確かに強いが、己自身の全てを制御下に置く事が出来ておらん。それでは才能を無駄にしていると言えるな」



「へっ! ……だが最後に立っていられた方が全てだ」

 よろよろと立ち上がり、クラビスは左手にタクティカルナイフを掴み、右手は拳ではなく、脱力してホルスターに近づける。



「ほう? さっきより殺気が細くなったのう? 」



「ぬかせ!! 」

 クラビスが滑る様に距離を詰めた。チンギス・カァンの左脇腹を目掛けてナイフを繰り出す。チンギス・カァンは、その腕を掌底で捌きながら、身体を後ろに下げる。その下がる身体に向かってベレッタM92を抜きながら、発砲するが、その至近弾をチンギス・カァンはかわして見せた。



「ちょこまかと、良く動く! 」

 初めてチンギス・カァンが震脚を見せた。踏み込みその掌底をクラビスの胸に向かって放つ! それを何とか腕をクロスして防御したが、それでも衝撃を殺す事は出来なかった。吹き飛ぶクラビスを眺めながら、カズキが立ち上がる。



カズキは一気に神霊力を増大させ練り込んだ。背中に背負った刀を抜き放ち、チンギス・カァンに向かって振り切った。その剣先が音速を超えて、衝撃波がチンギス・カァンに襲いかかった!



「おお!!! 」

 その衝撃波に耐えながら、チンギス・カァンも神霊力を乗せた拳をカズキに向かって放った! 衝撃波と衝撃波がぶつかり合い、炸裂した!



「真打登場か?! 素晴らしい! 」

 チンギス・カァンは歓喜に打ち震えた。自分と同じ威力の技を放つ者の存在に。



「大丈夫か?! 」

 レオニダスが声をかける。



「心配無用。それより貴様には、其奴らの始末を任せる」

 起き上がってきた白虎や千場慶次に視線を送りつつも、目の前のカズキに興味は移っている。



「良いのか? 」



「所詮は血塗られた道だ。【蒼炎の巫女】を玉座に導かねばならんしな」

 そのチンギス・カァンの言葉が終わるより早く、レオニダスはゆっくりと歩き出す。するとその歩みに合わせて空間の色が変わってゆく。



「なんだ? 心象結界か?! 」

 身構える千場慶次をも飲み込み、結界が広がってゆく。レオニダスの周囲に陽炎の如く、重装甲の兵士達の姿が浮かび始める。巨大な盾を全面に押し出して、その隙間から槍を突き出す。ファランクスと呼ばれる最強の防御陣形を形成した。



「これが奴の能力か?! 玄武! 生きているか? 」

 朱雀はそう言いつつも、自分の詠唱にはいる。



「何とか動ける……」

 血反吐を吐きながら、玄武は胡座をかき、杖を床に突き立てて共に真言と呼ばれる呪文詠唱に入る。



「なら、俺たちが時間を稼ぐ。さっさとかましてやれ! 」

 そう言って青龍が長髪を振り乱しながら、玄武の横を走り抜ける。一気に距離を詰め、ファランクスに向かって槍の乱れ打ちを放つが、レオニダスにはダメージが通らない。

 側面けら白虎がファランクスの槍を薙ぎ払い、凄じい拳の連打を叩き込むが、



「無駄だ! 」

 レオニダスが手を横に一閃すると、青龍と白虎が弾け飛んだ。巨大な盾で体当たりされ、吹き飛んだのだ。



「なら、これでも喰らいな! 【蛟龍(ミズチ)】やれ!! 」

 朱雀が空間に穴を開け、そこから巨大な龍を呼び出した。日本のお伽話に出てくる様な長い胴体の龍が、地下空洞を駆け巡る。その龍がレオニダスを防御するファランクスに巻き付いてゆく。



「ガッファ!!? 」

 レオニダスが吐血するほどの圧力が襲いかかった。

 ギリギリとファランクスを締め上げる。

【これでも喰らいな! 】をお送りしました。


(映画【キングオブモンスターズ】を観ながら)

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