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232 貴様、薬を使ったな!

【貴様、薬を使ったな!】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 【黒龍の巫女】の本陣では、慌ただしく兵たちが行き来している。カズキの隊が離反した為に軍勢の再調整を余儀なくされていた。信長の幕舎を出入りする将軍達の脇を通り、一人の男が信長を訪問した。



「ビリーか、儂は親衛隊と共にゴドラタンに入る」



「本当にそんな少ない数で行くだか? オラも一緒に」



「いや、貴様にはグランドロアのタヌキを抑える為に、銃撃部隊の指揮をして貰わねばならん」

 と信長は言うが、どうも自分をこの案件から外したがっている様に感じる。



「国境にはグランドドロアの僧侶騎士団が集結中だ。それを叩いて貰うぞ」



「法王は出て来ないのだろう? アヴァロンで空から乗り込んだ方が早くないだか? 」

 


「だとしても、王都を留守にする訳にはいかぬ。貴様は後程アヴァロンで回収する。それまでは頼む」

 信長はビリーの眼を見ずに受け答えをする。



「……わかった。武運を祈るだよ」



「祈りなど不要だ。儂は神など信じぬ。グランドロア国境で会おう! 」

 そう言い残して踵を返した。




◆◇◆





 薄暗い洞穴に入ってから既に一刻経つ。エルファンが建国される以前から存在するこの【真理の宮】の最深部に【蒼炎の巫女】が囚われている。



「そろそろ、奴のテリトリーだ。油断するな」

 レオニダスは重装甲兵を前に押し出し、最大限の警戒を行なっている。当然視界が開けて、巨大な空間に到達した。その正面奥に祭壇があり、その更に奥には巨大な金属の壁が聳えていた。



「チンギス・カァン……ここへ何しに来た……ここは貴様如き召喚者が入れる場所では無いぞ」

 祭壇前の床に寝そべっていた妖艶な女が立ち上がる。絹のローブ一枚しか羽織っていない。立ち上がった瞬間、膨大な魔力がチンギス・カァンに吹き付けてくる。



「エメラルダス、我らの巫女を返して貰うぞ」



「ふっ、何を言い出すかと思えば……ウェルは、妾の物じゃ。貴様如きが巫女に触れる事など叶わぬ。エレクトラ如きに尻尾を巻いた貴様などにな」

 ウェルと呼ばれた【蒼炎の巫女】は、気怠い身体を起こし、虚な瞳を向ける。



「貴様、薬を使ったな! 」



「ウェルは、妾に超帝国皇帝の座を譲るそうだ。ならば貴様ら召喚者の役目も終り……我が座乗艦である【パンデモニュウム】に貴様らの居場所は無い。ほら、そこに変わりになる者達がおる」

 チンギス・カァンが振り向くよりも早く、青い光の円に堤込まれた。その魔法陣から巨大な化け物の顎が、チンギス・カァンや、レオニダス一行を丸呑みした!



「その昔、大陸から日の本に渡り、平城宮を騒がせた白い大蛇の化け物【騰蛇(トウダ)】の顎だ! さあ、存分に食らえ! 」

 玄武が召喚した巨大な式神の攻撃だ。亜空間内を飛び回り、貪る様に咀嚼する。だが次の瞬間、喉から白刃が突き出て、たまらず魔法陣の外側に踊り出た。洞穴空間で苦しさのあまり暴れ回り、飲み込んだ物を吐き出した。



「たまらんな〜、消化液など願い下げだぞ。余を誰だど思っておる? 」

 玄武には立ち上がったチンギス・カァンの動きを捉える事は、出来なかった。左足で地面を踏み抜き、その力を腕にまで伝え、玄武の鳩尾を掌底で貫いた。玄武が血飛沫を上げて吹き飛ぶ。



「玄武?!! 」

 朱雀が信じられない光景を、目にした。絶対物理防御壁を貫いて玄武に打撃を打ち込んだのだ。それは魔力の無いただの打撃だった。それを見た白虎と青龍が左右からチンギス・カァンに挟撃する。だがそれを体捌きでかわし、逆に白虎の首筋に手刀を叩き込み昏倒させ、青龍には左回し蹴りを喰らわせた。腕で防御したが、そんな物はお構いなしに衝撃が頭を貫通する。



「ば、馬鹿な!! 」

 


「どいてろ! 俺がやる」

 千場慶次が、前にでる。

 チンギス・カァンと千場慶次が睨み合い、次の瞬間、千場の抜き放った白刃が後方からチンギス・カァンの首を薙いだ様に見えたが、身体をしゃがませ、低空から回転回し蹴りを千場に叩き込む!


 

【貴様、薬を使ったな!】をお送りしました。


(映画【アウトブレイク】を観ながら)

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