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230 呪力を秘めたる物

【呪力を秘めたる物】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 影と影が睨み合う……


 世界と世界が溶け合うかと思われるほど、


 長く感じる時を……


 同時に二つの影が掻き消えた!


 空に舞った影に、地をゆく影が巨大な業火を浴びせる! が、その業火は一瞬で掻き消える。



「なんだ?! 魔力の発動が消えた?! 」

 スターズは更に巨大な業火を発生させ、ヒロトに炸裂させようよするが、また業火は掻き消える。



「貴様! 私の魔力を打ち消したのではない……事象の改変だと?! なぜそんな力がある?? 貴様、化け物か?! 」

 ヒロトはスターズの魔力を打ち消したのではなく、スターズの行った魔法発動自体を無かった事にした。事実を事実で無くしたのだ。



「不老の化け物に言われたくないな! 消えろ! 」

 次の瞬間、スターズの胸から白刃が生えていた。背中から一気に貫かれたのだ。



「……今度は瞬間移動か……貴様、クラインの術を……だが、このままでは終わらん……エヌマ・エリシュで待っているぞ……」

 そう言い残して、忽然とスターズは消え失せた。



「逃した?! 手応えもおかしかった……エレクトラ、大丈夫か? 」




「ええ、何とか。ヒロト良く来てくれました」

 いつの間にか心象結界も解除され、元の執務室に戻っていた。



「時間が惜しい、エレクトラ、君が知っている事を全て教えてくれ」

 ヒロトの瞳には有無を言わさない意思の強さがあった。





◆◇◆





 【マルドゥク争奪戦】とは、アリストラス超帝国が開発した四隻の外宇宙航行用、超弩級宇宙戦艦を使用した四人の巫女による戦いを意味する。



「本来、私の兄であるクラインが、【虚なる神】を倒す事で、超帝国皇帝となっていた筈なのですが、【天草四郎時貞】の謀略によって、その事が歪められ、結果は【虚なる神】を封印する事となりました。それはヒロトが一番存じてますよね。その為に【マルドゥク争奪戦】が発動してしまった」



「エレクトラ……」



「ヒロトを責めているのではありません。これは、成る可くして、成っている事……」



「【マルドゥク争奪戦】とは何なのです? 」



「四隻の航空戦艦が復活した時点で、【エヌマ・エリシュ】へ至る門が開きます。そしてエヌマ・エリシュにて【マルドゥクの壺】と呼ばれる鍵を奪い合う」



「鍵……ですか? 」



「超帝国の管理システム【プロメテウス】へ繋がる為の鍵……四隻の殺戮兵器が戦えば、どの様な事になるか……ヒロト、止めて下さい。発動させては駄目なのです。でなければ大量の人々が死ぬ事になる……災厄を撒き散らす事になります」

 エレクトラが、そこまで話した時に、扉がノックされた。



「はいれ! 」

 扉が開き、近衛騎士団の当直担当者が恭しく敬礼する。



「は! 失礼いたします。スターズの館を捜索したのですが、慌てて撤収したようです。既に家臣の者達も居らず……ただ厳重に封印された場所があり、魔導団に開けさせましたところ、魔導書など多数を押収……だだ中に扱いの解らない物が一つ……」

 それはこの世界では【スクロール】と呼ばれる物で日本で言うところの、いわゆる巻物だった。その物だけが、さらに厳重に封印され、魔導団では取り出す事ができない状態だった。



「何だ? 」



「その……魔力では無く、アリストラス世界では珍しい、呪力と言う物が宿った書物だとの事。我らの魔導団では開く事も出来ないとか……どうなさいますか? 」



「呪力?? ヒロト!? 」



「呪力とは、私の故郷の日の本の国に古くから伝わる魔力に似た力です。似て非なる物ですが……もしそんな呪物があるとすれば、【災厄の渦】を利用した天草四郎時貞が持ち込んだ物か、もしくは……」

 ヒロトの脳裏に浮かんだ名前と、エレクトラのそれは同じだった。



「安倍晴明殿の持ち物?? 直ぐに確認します。案内を! 」

 ヒロトとエレクトラは立ち上がり、その呪物を確認する為に若い騎士団員を急がせた。













【呪力を秘めたる物】をお送りしました。


(映画【地球、最後の男】を観ながら)

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