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227 渦への入口

【渦への入口】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 【蒼炎の軍】は、混乱を極めた。

 敵軍の情報が入って来なくなったのだ。それに比例して中央からの伝令も減った。プレイトウ商会の【影】と呼ばれる諜報部隊によって【蒼炎の軍】の伝令兵や間者を始末され、さらに中隊、大隊規模の指揮官までもが暗殺されている状況で、ゴドラタン軍第一軍が側面から突入を開始した。アハローンが戦場から離脱した為に、魔法戦闘で劣るチンギス・カァンは軍を引かざるおえなかった。



「どうするのだ? 」

 レオニダスは、損傷した胸当てを取り換えながら、傍らのチンギス・カァンに話を向ける。



「一旦、王都に戻り選抜隊を組織して、【真理の宮】に入る」



「あれを動かす気か? 」



「奴らは強い……だが、あれが有れば互角に戦えよう」



「巫女は同意したのか? 」



「先日、システムからアクセスコードがもたらされた……貴様の言いたい事はわかる……どうもシステムに操られているな。だがあがらう事もできん」



「気に入らぬな。だが」



「そうだ。我らは【蒼炎の巫女】を助ける為の駒だ。ならばやる事は決まっている。軍を動かすぞ! 」





◆◇◆





「奴ら、軍を引くぞ?! 」

 敵軍後方の切り崩しを行なっていた九郎は、向かって右手側に移動を始めた敵軍の動きを見て、撤退だと直ぐに理解した。だが追い討ちは控える事にした。



「何故追わないのです? 」

 ジレは九郎の迷いの様な感情をみてとる。



「……この盤面、俺なら軍を二つに分けて、ゴドラタン軍を包囲殲滅する。それだけの戦力があるにも関わらず引く……」

 九郎は馬首を返して、ヒロト達と合流する事に決めた。



「なんか有るな。やな予感がする。こう言う場合は、一旦間合いを開けた方がいい。深追いすれば碌な事がない……ヒロトも戦闘を中止したな。現れた【悪魔】も消えている」

 遠目でもかなりヤバい奴が召喚されたのはわかったが、あのアハローンとかいう奴の存在が離脱したと同時にそれも消えた。それよりも、あの光のエネルギー体は、ジャンヌに見えた。どう言う事だ??



「本陣に撤収する。ヒロトの動きは速いぞ。気を引き締めろ! 」





 九郎が本陣に到着すると同時にゴドラタン軍からライラック・バルバロッサ将軍が参陣した。ライラックも【蒼炎の軍】の動きに違和感を覚え、ヒロトとの考えの擦り合わせに来たのだ。


「奴らの動きは不可解だ。何故一気に戦わない? 」

 ライラックは、有利な状況を捨ててまで撤退するチンギス・カァンの思考が読めない為にイラついている。



「九郎、わかるか? 」

 ヒロトもまだ思考が追いついていない。



「……有利な状況を捨てる……なぜ? それはもっと有利な状況を作り出す為……待ち伏せか? いや、そんな回りくどい事に意味は無い……ならば……」

 九郎は思考の迷路を順に辿っていく。



「……まだ切り札がある? 」

 ヒロトも追いついて来た。



「そうだよ! それだ! だけど切り札って何だ? 」



「航空戦艦……」



「?! 奴らも持ってるって事? 」

 九郎は理解の範疇を超えたあのテクノロジーの塊と言える船を思い出した。



「【巫女】の下に【神巫】がいて、そして【船】があるとしたら……」



「全部で四隻ある……」



「ちょっとまて……?! なら見たことの無い船がアリストラスに一隻あるとして、ゴドラタンにも一隻……」



「ゴドラタンのアヴァロンは、ナルザラスが元々は自分の船だと言っていた。ならばそれは【黒龍の巫女】の座乗艦だと言う事だ。ならば是が非でも取りに来る」

 ライラックは直ぐに近衛武官達に、アヴァロンの警備を上げる様、帝都に連絡する様に伝えてる。



「なら、アリストラスの船は何処にある? 」

 九郎はジレの顔を見るが、ジレもわからない様だ。



「……多分、スターズ閣下が知っている」

 ヒロトは軍を残し、皇都に戻る事にした。


【渦への入口】をお送りしました。


(映画【魔女〜増殖】を観ながら)

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