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211 巨大な軍勢

【巨大な軍勢】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 「……どうやら、何を言っても無駄な様だな……今回は引くとしよう……だが次は無いぞ」

 そう言い残して、千場慶次の姿が朧気になり、蜃気楼の様に揺らめきながら消えた。



「せっかちな人だな。クローディア、追跡出来るかい? 」

 スレイン・東堂・マッカートニーは、側にいる女性に話しかける。彼女こそ、スレインが作り出した最高傑作だった。



「ある程度までは可能です。千場慶次は空間跳躍を行なっているので、あまり離れるとロストします」

 クローディアの瞳の奥は、機械的な採光を放ち、人工知能が凄まじい高速演算を行なっている。



「どうします? 」

 スレインは信長に問いかける。



「またその内、向こうから来るだろう。それよりも貴様らが持ち込んだ銃の生産は、やはり無理か?? 」

 信長は、腰に挟んだベレッタ92 を掴んで眺める。9mm弾、14発弾装のコンパクトな銃を見た瞬間に信長は心が躍った。



「鋳造技術の水準が未到達だから無理ですね」



「ふむ、はっきり言うな。アリストラス皇國では、弾丸を雨の様に降らす銃機を生産していると言うぞ」



「それはアサルトライフルかな?? そんな鋳造技術があるのですか? 」

 この世界の科学技術は、超帝国時代からかなり衰退し、すでに中世ヨーロッパに近い。合金を生み出す技術があるのか?



「アリストラス皇國領に住む、【ドワーフ】という少数種族が作ったそうだ」



「ドワーフ?! まさにファンタジーだな……まあ、僕のストレージのストックがあれば何とかなるだろう。それよりカズキ達はどうする? 」

 カズキの能力は未知数だ。【ファイヤーグランドライン】最強の能力を、このナイアス大陸で具現化出来るなら、それは最大の脅威となる。



「所詮は人の能力だ。問題ない。それよりお前は、ナルザラスと共に超帝国の遺産覚醒の作業を早めろ」



「約束どうり? 」



「ああ、獲得した技術はお前の好きにすりぁ〜あいい。依存ないな? 」

 信長はナターシャに視線だけ送る。



「ええ、構わないですわ……私は【マルドゥクの壺」さえ手に入ればそれでいい」

 ナターシャは、それだけ伝えて侍女を呼び、疲れたからと自室に向かっていった。

 




◆◇◆




 チンギス・カァンが動かす【蒼炎の軍】は、巨大な軍勢を三つに分けて進軍してくる。一つ目は、ライアット公国とゴドラタン帝国のちょうど国境に位置するライアット公国第二都市カルーナに向かっている。彼の地は東方地域への玄関口であり、東方とゴドラタンからアリストラスを結ぶ公益の重要拠点である。ライアット公国自体、小国ではあるが、経済力という意味ではアリストラス皇國に匹敵する。

 二つ目は、ライアット公国の第三都市ヴァイアを目指して進軍中である。この都市は前回の【災厄の渦】の激戦地で、幾重にも塹壕と防御柵が構築され、さながら要塞都市の風貌を見せている。チンギス・カァンの主力と考えられる中央軍が迫っていた。

 三つ目は、グランパレス大氷河から流れ出す雪解け水、その水が集まり河となり、パルミナ連合王国まで続くカイス河。その河が乾季には水が無くなり、一本の巨大な道となる。その道を埋め尽くす様に軍勢が進軍していた。

 ヒロトは早朝からこの三つの軍勢に対する行動指示を各方面に伝達し始めていた。さらにトーウル王国の残存戦力を再編成し、民間からの義勇軍と纏め上げ、ドワーフ、ハイエルフの軍勢にも助力を頼んだ。



「流石、チンギス・カァン……小細工が一切ない。まともに力でねじ伏せるつもりだ」

 ヒロトは空間に描かれた戦略マップに表示された敵軍の軍様を見て、惚れ惚れした。まさに大軍の見本を見ている様だ。



「戦力差は如何(いかん)ともし難いか? 」

 武蔵はヒロトに並んでマップを眺めて呟く。



「……やり様はある。ただし機動力が必須だ。今作戦は九郎の速さにかかっている」

 そして、もう一枚切り札もある。



「最初はカルーナの敵左翼からだ。会敵予想は三日後の早朝だ」

 ヒロトにはある思惑があった。



【巨大な軍勢】をお送りしました。


(営業【エルム街の悪夢】を観ながら)

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