表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/147

200 四聖獣

【四聖獣】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 クザン渓谷の中央を南北に貫く深い谷がある。その谷の側面に馬が三頭並んで歩けるぐらいの道があり、その山道に東側の側道からブランデン連合軍第二軍が進軍し始める。重装甲の盾部隊を全面に押し出し、徐々に進行開始した。



「……なんで協力する気になった? 」

 クラビスは主人であるカズキが、この戦に介入する気になった事は、普段の気まぐれだけでは無いと思った。



「まあ、なんだ、か弱い美少女が困っていたら、主人公キャラは助けるだろ? 」

 この場合の美少女はナターシャの事だ。



「突っ込み何処満載だが、助けるって誰からだ? 」



「織田上総介信長に決まってるだろ? 」

 織田の殿様に跪き、自分ほど役に立つ者は居ないだの、なんだの言っていたのは、つい最近だったと思うが……



「織田……いや、【黒龍の軍】は、ヒロト達と敵対しているのだろう? その織田と敵対するのか?? 」

 クラビスはやっと馬の扱いに慣れてきた。



「俺たちが、【黒龍の軍】を手に入れるのさ。この四つの勢力のどれか一つを自由に出来ないと、ヒロトと同じ土俵で遊べないだろ? 」



「その為に、信長の信用が必要か……で? どうすんだ? 」



「まあ、こんな戦、高域殲滅魔法で、さっさと終わらせる事も出来るんだけど、それじゃあ訓練にならないだろ? だから奴らの思惑に付き合ってやるさ。

 第二軍の戦力は、総勢約一万。けっして多くない。だがそれはカズキが自分から信長に進言した事だった。だがそれも実際には信長の顔を立てる意味合いで、本来なら軍勢自体、カズキにとってはお荷物でしかなかった。

 軍がクザン渓谷に差し掛かった何処で状況が始まった。




「敵襲!!! 盾兵は防御! 落石に注意しろ! 」

 先頭の部隊を、指揮する部隊長から怒声が響く。刃を交える音も聞こえてくる。



「?! なんだ? 戦術マップに敵が表示されなかったぞ? 飛び道具に注意させろ! 」

 クラビスが目の前の空間モニターを操作しながら、エラーを確認する。



「索敵隠蔽が行われた。システムに干渉するのか〜、術の類だな」

 カズキはあくまでものんびりしている。



「【白虎】、やれるかい? 」

 


「ああ、その為に来たからな! さっさと終わらせてくる」

 カズキに白虎と呼ばれ、女子高生の格好に日本刀をぶら下げ、凄まじい跳躍力で、前方に向かって行った。

 盾兵に向かって、前方から長槍の敵部隊が猛攻を加えている。その間の地面がせり上がり、軍と軍の間に土の壁が出現した。盾兵の内側にいた真っ黒なローブを頭から被った存在【玄武】が、地面に手をついて発動させた術だ。その玄武の横をすり抜けて、一気に盾兵と土壁を跳躍し、敵長槍部隊の直上から突入した白虎は、


「んにゃろー!! 」

 猫の様な掛け声で、長槍部隊の中心の地面に思いっきり拳を叩きつけた! そのインパクトの中心から円形に、周囲の地面諸共、衝撃波が広がって、敵兵士達を吹き飛ばす!!

 爆風がおさまり、土煙の中で佇む少女の右手拳に、幾重にも重なる魔法陣が浮かび上がっていた。



「お、おのれ! 怯むな!! 」

 長槍部隊の後方に位置していた、兵士達が腰の剣を抜き、白虎に襲いかかる。


「白虎、引きなさい。私がやります」

 そう言って、長髪の偉丈夫がいつの間にか白虎の隣に立っていた。


「【青龍】、出てくるの早いよ〜」

 青龍と呼ばれた青年は、白虎の言葉を無視して前に出る。と思った瞬間、その姿が消えた。いや、突然消えたと思った青龍は、敵兵力のど真ん中に現れ、地面に両手をついて、両足を回転させる様に蹴りを浴びせてゆく。いわゆる旋風脚というやつだ。上段から兵士が斬りかかるが、それをバク転でかわして、さらに回し蹴りを喰らわせる。その左足には、白虎と同じ様に幾重にも魔法陣が浮かび上がっていた。よく見ると、異国の文字が足の周りに浮かび上がり、さらに回転している。



「相変わらず凄い威力だな。竜巻が発生する」

 玄武が遠目で青龍をみて呟く。



「そろそろ、妾の出番じゃな」

 そういって玄武を押し除けて前に出た女は、場違いに裾から腰までスリットの入った艶かしい格好で、まるで夜会のホールを優雅に歩いてくる様だった。



「【朱雀】まで? 私の出番を取らないでよ! 」



「良いではないか。少し運動不足でな。あのロクデナシの相手ばかりで疲れる」

 ロクデナシとは、千場慶次のことだ。





【四聖獣】をお送りしました。


(映画【ともだちゲーム】を観ながら)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ