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199 闇の鳴動 (訂正-1)

【闇の鳴動】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 VRMMO【ファイヤーグランドライン】


 ストームスレイヤーの天空に浮かぶ、ナン大陸、


 大陸の東側に位置するロザリオ王国で、


 その噂話は、現実味を帯びて来た。


 ナン大陸の中央山岳地帯では、強力なモンスターが出没する。そんなモンスターを喰らい、凄まじい勢いで成長を続ける【災厄の王】が存在すると言う。【ファイヤーグランドライン運営】からイベントの告知も無く、最初は唯の噂話、ヨタ話しの類だと思われていた。だが近頃は、目に見えて、空間が歪むほどのエネルギーが発生し、それが唯の噂話では無い事が証明された。

 【ファイヤーグランドライン】は日本、アメリカ、インドの三カ国にまたがる【量子AI クリシュナ】によって管理運営されている。ある程度の方向性は、人間の運営委員が管理しているが、その殆どはイベントから、新しい地域マップに至るまで、AIによる自動生成を行っている。だから当初、この【災厄の王】も特殊なイベントだと思われていた。各地から攻略組が参加して、【災厄の王】討伐が開始されたが、通常の攻略組戦力では突破は出来なかった。


 討伐戦で六割の戦力を失った。その中で生還出来た者達が、バーチャル・メディアに取り上げられ、世界に発信された。


 ※※生存者Aさんの証言※※

「あれは、通常のゲームバランスから逸脱した存在だ……あんなのに、勝てるわけね〜よ! あれは、クリシュナが生み出したバグだ……それしか考えられない……」



 ※※生存者Bさんの証言※※

「ほら、最近メタバース内で、はやってる新興宗教の教祖が、【災厄の王】こそが、世界を虚無に戻す為に、神から使わされた存在だとか、なんだとか言ってるよね? 冗談じゃなく、それぐらいの存在だよ」



 ※※生存者Cの証言※※

「空間が歪んでるだろ? 見たんだよ……その歪んだ空間の更に奥……あれは虚数空間に繋がってる……デジタル世界で有り得ないって? だが事実、その穴は少しづつ広がってんだよ……」




◆◇◆





「ご覧の通り、連日この様な報道が続いています。やはり【風見鶏】の相転移が原因かと」

 陸上自衛軍の軍服を纏った男はモニターを見ながら、この国の代表たる谷崎内閣総理大臣に説明を行う。



「だが、その因果関係はわからないのだろう? 」

 禁煙を始めてから半年経ったが、今朝は思わず煙草に火を付けてしまった。そして今、十本目に火を付けた。



「問題は、【量子AI クリシュナ】が、この謎の存在によって侵食されていると言う事です。このままでは……」



「……このままでは……どうなると言うのだね? 」



「乗っ取られる可能性があります。もし、クリシュナが乗っ取られた場合、様々な弊害が……」



「……弊害とは?? 」

 煙草の火を揉み消して、目の前に立つ軍服の男を睨みつける。



「あの量子AIは、世界でも最先端のコンピュータAIです。そのAIが乗っ取られた場合、どの様な国のシステムでも防壁を突破可能になります。バックドアなど必要ありません……」

 軍服の男は、嫌な汗を拭いながら、最後の言葉は、しどろもどろになった。


「では、何か? それは核兵器や、自立機動兵器にアクセスし、乗っ取る事も可能か? 」



「はい……」



「なんたる事か……直ぐに対策チームを立ち上げろ! 外側から【クリシュナ】を援護する事は可能だろ? 大統領には私から話しをする。羽柴官房長官、与野党の調整をお願いします」



「わかりました……だが、今回の件、防衛軍の制服組から、何人かは責任を取って貰いますよ」

 羽柴官房長官は、軍服を着た男を睨みつけ、男は更に汗が止まらなくなった。

 そのとき、執務室のドアを入ってくる者がいた。



「なんだね?! 会議中だ! 」

 駆け込んで来たのは、内閣調査室の工藤光一警視正である。


「申し訳ありません! いま市ヶ谷駐屯地より連絡があり、【クリシュナ】の日本サーバー施設上空の空間に歪みが出ていると連絡が! 」

 


「なんだと? ……どうなっているんだ……」

 谷崎内閣総理大臣は、禁煙を諦めざるおえなかった。


【闇の鳴動】をお送りしました。


(映画【呪怨2】を観ながら)

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