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188 グノーシス・アニマ

【グノーシス・アニマ】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 大空洞に静寂が戻る。



 音が消え、



 巨大な波紋だけが広がる。


 

 それはゆっくりと、底の見えない闇から起き上がって来た。



 一つ目の人型が立ち上がる。両手を古代語で埋め尽くした布で体ごと巻かれて縛られている。巨大な口をめいいっぱい広げて凄じい雄叫びを上げた!!



「何だこいつは?!! 」

 そう言いながらも、ミランはポシェットからツインヘッドドラゴンを取り出して投げた。巨大化したそれは、闇を凝縮した様な存在にファイヤーブレスで攻撃を開始した。爆炎を浴びてさらに雄叫びを上げる!



「効いてない?? なんなの? 」

 地面から黒く蠢く布が、ミランに踊りかかった!



「グノーシス・アニマ……地獄で我が生成した偽神のコピーだよ 」

 笑みを浮かべながら、平然とナルザラスは言い放つ。



「偽神のコピーだと? 」

 アトワイトは即座に妖弓を放った。吸い込まれる様に偽神のコピーと言われた存在に突き刺さるが、それを無視して、さらに雄叫びを上げた。大空洞が震えている。ライラックが、剣に雷撃と火炎の魔法をダブルで練り込み、一気にグノーシス・アニマに対して振り切った。火炎と雷撃を纏った衝撃波がグノーシス・アニマを飲み込んだ!

 爆炎とイオン化した大気が渦を巻いて、火炎流が発生した。その中心部で、黒い塊が、ゆっくりと動き出す。



「効いてないの?? 」

 ミランが、情けない声をだす。

 ツインヘッドドラゴンがグノーシス・アニマの肩に喰らいつき、噛みちぎる!!  

 ソリウリスがさらに追撃の連撃を放つと、今度は突き刺さった。



「……何だ?! 今度は効いている?? だが? 」

 今度の物理攻撃は確かに効果があったが、たが噛みちぎった肩は直ぐに再生を始めた。そして、腕を拘束した布をゆっくりと引き千切る。



「なんかヤバイぞ!! 」

 アトワイトは身構え、魔法防御壁を展開する。

 グノーシス・アニマが呪札布を完全に引きちぎり、四本の腕を高く上げて雄叫びを上げる。周囲の空間に紅い色の古代アリストラス文字が浮かび上がり、それがグノーシス・アニマに収束した瞬間、莫大なエネルギーが炸裂した!! 衝撃波が大空洞に津波の様に広がる!! 



「終わりだ。さあ、アヴァロンの起動を?! 」

 天井近くから見下ろしていたナルザラスを蹴り落とした存在があった。地面に叩きつけられ、爆発する。が、絶対物理防御壁のお陰で、ナルザラスは無傷だ。



「……女神のご登場か、もう少し時間がかかると思ったのだかな」

 埃を払いのけて、ナルザラスが立ち上がる。



「久しぶりね。老けたんじゃない? 」

 いつの間にか、ブラに紐パン、そして透明に輝く羽衣を羽織った女性がライラック達の前に佇んでいた。



「お陰で三百歳を越えたよ。貴方も完全体になられた様だな」

 ナルザラスがまた杖で波紋をおこす。



「ライラック! 生きてる? 生きてるなら皆を連れて後に下がりなさい」



「クリス様!? どうして? 」



「陛下は全てお見通しよ! 」

 その時、グノーシス・アニマが呟いた。



『流星』

 大空洞の天井に幾つもの異空間と繋がった穴が広がる。その穴から、何かが地上に向けて落下してくるそれは、巨大な隕石だ。それを緑色に光り輝く魔法障壁が防ぎきる。



「多重絶対魔法防御壁か、流石ですな女神殿」



「貴様に褒められても、嬉しくもなんとも無いわ。さっさとそのデク人形を処分しないとね」



「出来ますかな? グノーシス・アニマを退ける事が」



「そんな物、一瞬で潰してやるわよ! 」

 右手を高く掲げると、その掌の上に、光輝く玉の様な物が浮かび上がる。神霊力を圧縮したエネルギーの塊だった。それを天井にまで飛ばして、そこから網の様に広がって、グノーシス・アニマに覆い被さった。光の網が凄じい圧力で締め上げる。



 グッゥウォオオオオオオオオオ!!!!!!!



 グノーシス・アニマの身体に巻き付いて締め上げる。絶叫を上げて口を天井に向け、黒い焔を吹き上げた瞬間、光の網は、グノーシス・アニマの身体をバラバラにしてのけた。


【グノーシス・アニマ】をお送りしました。


(映画【ジョーズ】を観ながら)

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