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187 アヴァロン (改訂-1)

【アヴァロン】をお送りします。


宜しくお願い致します。

「敵襲!! 大空洞の入り口を固めろ!! 」

 帝都防衛騎士団から選抜された隊員達は、皆が其々魔導の心得の有る魔法剣士である。さらにケルン教団から司祭クラスのヒーラーが数名参加している。その防衛部隊の前に立ったのは、ナルザラスただ一人だった。



「念の為にお聞きしますナルザラス様。ここに何をなさりに来られたか? 」

 この隊の指揮官である中隊長が、ナルザラスに声をかける。



「……我が船に火を入れる為」



「この船は皇帝陛下の船であり、ゴドラタン帝国の至宝です」



「その認識は間違っている。アヴァロンは、超帝国皇帝の艦隊に所属し、その皇帝がおられ無い場合は、【巫女】様のご乗艦となる。であるから、我が船と呼んだ。そこをどくがよい」

 さらにナルザラスが前に出て、右手を左から右へ水平に薙ぐ。



 グルゥゥウウウウウ!! グガガガガガ!!!! 



 そのナルザラスの手の動きに合わせて、騎士団員数人が、不可視の力に引き寄せられ、壁に激突した!

 その光景を見た瞬間に、他の騎士団員は直ぐにファイヤーボールの魔法攻撃を放つ! その判断は流石と言うべきだが、相手が悪かった。放たれた瞬間、そのエネルギーは方向を変えて騎士団に襲いかかった!! 爆風と熱波が周囲に広がる。



「その様な児戯にも等しい魔法など……次は君たちの番かのぅ? 」

 ナルザラスの視線の先には四人の男女の姿があった。



「この様な事になるなど……残念です」

 ライラック・バルバロッサは、溜息をついた。予想が外れて欲しいと、心の何処かでは思っていたのだ。



「神巫としてのお勤めじゃ。仕方がなかろぅ? 」



「それは超帝国のシステムに操られているだけでは?! 」



「半分はそうじゃが、もう半分は学術的興味だな」

 騎士団員を薙ぎ払った衝撃で舞う埃を払いながら、ナルザラスは左手にある杖で地面を叩く。すると、水面を叩いた様に、見える筈の無い波紋が広がって見えた。



「その昔、ルバンス様の母上を助ける為に共に戦った貴方がなぜです? 」



「あのお方は、超帝国の本流。助けるのは当たり前じゃ。ただあのお方の過ちは、超帝国皇帝に御成にならなかった事じゃよ」

 ライラックの横から、ミラン・グライアスが駆け抜けてポシェットから丸い目玉の様な物をナルザラスに向かって投げた。



「私の可愛い魔眼さん! 奴をやっちゃって! 」

 投げられた目玉を模した人形が、巨大化して、まさに目玉の化け物となって宙を飛び、ナルザラスに黒い無数の棘を飛ばす!



「魔眼魔人?! 素晴らしい、ここまで再現するとは?! ミラン嬢は傀儡使いとして素晴らしい才能をお持ちだ」



「あんたに褒められても嬉しくないわ! 大人しく縛につけ! 」

 ミランが広げた掌をぎゅーっと握り込むと、魔眼の眼から、黒い稲妻が放出された。



「ならば、これはどうです? 」

 ナルザラスがさらに床を杖で叩くと、また波紋が広がり、その波紋の中から、巨大な目玉の化け物がゆっくりと現れる。



「?! 魔眼魔人?! 本物の?! 」

 地獄から召喚した魔眼魔人が、ミランの作った魔眼魔人に黒い稲妻を炸裂させた! お互いの力がぶつかり、干渉して弾き合った!



「どけ!! 」

 ソリウリスがミランの横をすり抜けて、凄まじい槍の一撃をナルザラスに放った!! その必殺の槍を、不可視の壁が遮る! 槍が当たった場所から波紋が広がり、その波紋の中から、今度は巨大な三っ首の狼が現れる。



「今度はケルベロスか?! 」

 アトワイトが白銀に輝く弓を引き、神霊力で発光した矢を連続で射出した! その矢を器用に交わして、ケルベロスの顎がライラックに襲いかかるが、その後からカーブを描いて飛んだ矢がケルベロスの後頭部を貫いた!! アトワイトの妖弓はターゲットを追いかけ続ける!



「ふっははぁはは!! やるな! 流石はラウンズと言うべきか。グラウス皇帝が目をかけるだけの事はある」



「我らは皇帝陛下の剣であり盾である。陛下に叛逆する者は、一歳許さん!! 」

 ライラックが跳躍し、魔眼魔人とすれ違いざまに一文字に斬り捨てた! 鍔鳴りだけが聞こえる。



「素晴らしい! 失礼した。その様な雑魚をあてがった詫びに、良いものを見せてやろう」

 さらに杖で地面を叩き、その波紋が華の様な紋様を描く。


 

【アヴァロン】をお送りしました。


(映画【ブレイド】を観ながら)



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