184 ミカエラ・レッドフィールド
【ミカエラ・レッドフィールド】をお送りします。
宜しくお願い致します。
グランバルド大砂漠から北に位置するガルの街。その酒場に昼間から怒声が響き渡る。見るからに凶悪な面構えの男が五人、酒場で仕事をする娼婦に金を払わずに出て行こうとしたところ、酒場の用心棒に止められたが、その用心棒を叩きのめした為、馴染み客を巻き込んで乱闘となった。結果、街の住人三人に死傷者が出た。
「……なんだい、あいつら? 」
二日酔いの頭を押さえながら、ミカエラ・レッドフィールドは、隣の長身の男に呟く。
「あの様な身なりですが、北方域のグランドロア聖教連合法國の僧侶騎士団だと。ああやって、因縁をつけて揉め事を起こして回っているようです」
「坊主がマフィアの真似事か? 世も末だな……」
「あああやって、勢力をかか拡大してるんだな、うん」
どもりながら丸々と太った大男が、補足する。
「シカゴのギャングと一緒だな……」
そうこうしていると、さらに男達は娼婦にまで手を挙げだした。殴られた娼婦が壁にふきとぶ。見るに耐えない。
「ゴミ虫風情が、聖なる我が鎧に触れるな! 」
さらに男は、娼婦を蹴り飛ばそうとしたが、襟元を後ろに引き倒された。他の四人の男達が一斉に殺気を放つ。
「坊主の癖に、娼婦を抱いて、金を払わないたぁ〜、どう言う了見だ? この女共がゴミ虫だって言うなら、お前らはゴミ以下の存在だ」
ミカエラは起き上がろうとした男の頭に銃口を向け、躊躇い無く引き金を引いた。
ズガガガガガガンンンンン!!!!
後頭部を弾かれ、男は前のめりにたおれこみ脳をぶちまけて、動かなくかなった。
「貴様!! エルファンの兵士か?!! 」
僧侶騎士達が一斉に剣を抜き、ミカエラに斬りかかる。だが振り下ろした場所には既にミカエラの姿は無かった。
「遅い! 」
そう呟きながら、また引き金を引く! また騎士の後頭部が弾け飛んだ!
「ばば、化け物!! 」
残りの三人が逃げ出そうと後ずさる。
「カリム! 」
ミカエラが長身の男に叫ぶ。
「お嬢様のご命令ですので、諸君らを生きて返すわけには参りません」
長身の男が、右手を水平に払う仕草をした。すると、真ん中の男の、頭が水平に真っ二つになった! カリムの手には何も無い。
「ひぃいい!! 」
残った二人の男が後ろに逃げようとする。
「エルドア! 」
ミカエラが巨漢の男に叫ぶ。
「おおおお嬢の命令は、ぜぜ絶対なんだな、うん」
そう言うと、片手で男達の頭を掴み、二人を腕の力だけで持ち上げた。すると、男達の体から水蒸気が立ち上る。最後には男達の体から炎が上がり、燃え上がった!
「おい! 連中の仲間はまだこの街にいるのか? 」
ミカエラがバーテンに声をかける。
「あぁ、中央の広場にある宿屋が奴らの拠点だ。騎士団の小隊長がいる筈だ……」
「そうかい。ありがとよ」
そう言ってミカエラは金貨をバーテンに放り投げた。
「行くよ。報告される前に、騎士団とか言う連中を掃除する」
「【風見鶏】には? 」
「ほっときゃいいさ、あたいは奴の手下じゃない。癪だけど、あくまでも雇い主はアメリカ合衆国だ。奴の酔狂に付き合う必要はないさ」
ミカエラは、【ファイヤーグランドライン】の亜空間収納からもう一丁ハンドガンを取り出した。正直、このシステムは便利だと思う。風見鶏が、この世界に飛ぶ前に、ストレージを拡張している。実質無限に近い収納が可能だ。大きさの制限はあるが……
酒場から出ると、通りの向こう側から、さっきの連中と同じ鎧を纏った連中が大挙してやってきた。
「おうおう、向こうから来てくれたよ」
ミカエラは何故か嬉しそうにハンドガンを手にする。
「貴様ら、我ら騎士団員を殺害した容疑で捕縛する!ひったて!? 」
男達の中でも、一際偉そうな男が前に出て来た。男の言葉も終わらないその瞬間、ミカエラは男の眉間を弾いた! 後ろに吹き飛ぶ男を見ながら、呆気に取られた騎士団員達が、我に返って剣を抜く。 だが剣を抜いた途端に身体を鎧ごとバラバラにされる者、いきなり身体が炎上する者、一瞬で地獄絵図が完成した。
通行人達が皆腰を抜かして、はってその場から逃げようとする。
「お前ら、やり過ぎだぞ! 」
ミカエラは目くじらを立てて捲し立てる。
「おおおおお嬢が、勝手に始めたんんんだな、うん」
「喧しい! ぶん殴るぞ!! 」
「だだだから、それはぶん殴ってから言う事じゃ、なな無いんだな、うん! 」
【ミカエラ・レッドフィールド】をお送りしました。
(映画【砂の惑星】を観ながら)




