181 インターバル 壱
【インターバル 壱】を投稿いたします。
宜しくお願い致します。
激しさを増す雨を目眩しにして、その騎馬の軍団が疾走する。
長く伸び切った【黒龍の軍】の本体後方に喰らいつく為だ。
だが違和感もある。この軍の指揮官が、こんなミスを犯すのか? 織田上総介信長とは、その程度の男か?? いや、所詮人間は不完全だ。間違いも犯すだろう……
「敵後方の歩兵部隊を切り崩して、反応をみる! 全騎突撃体制!! 」
五千機の騎馬の怒涛の疾走が、敵歩兵部隊に襲いかかった。
凄じい戦闘力で、歩兵を薙ぎ倒して進む! 騎兵の大半が、【災厄の渦】を経験し乗り越えた猛者共だった。
後方で始まった異変を感知した信長は、口元に笑みを浮かべ、
「ビリー! やはり来たぞ。儂の言うた通りであろう? 」
ビリーはそう言う信長の眼をみて戦慄を覚える。何処まで読んでいるのか?
「貴様の、銃撃部隊で対処せよ。そうだな、三段構えだ」
「わかっている。中間まで誘い込んでな……」
そう言ってビリーも配置についた。
騎馬隊五千機が、突き進む。
だが先頭を走る美影身は、やはり違和感があった。容易い……いや、容易過ぎる……
「いかん! 罠だ! ここは狩場だ! 軍を左右に分ける! ジレ、左を指揮しろ! 集合場所は分かっているな! 」
騎馬隊を左右に半数づつ分けて、逃走にかかる。
「気付きやがった! 銃撃隊一段目撃て!!! 」
ビリーが歩兵部隊を退けて、銃撃部隊の横列を敵騎馬の全面におしだして、一斉射撃を行った!
ズガガガガガガガガンンンンンンン!!!!!
その時、ビリーと美影身の眼が合った。ビリーはライフルの銃口を一瞬外してしまった。
(あいつ?! 戻っていたのか? )
美影身の指示で、各騎馬は散開して、凄じい勢いで散っていく。隊列を組むより、散り散りに逃げる方が、助かる確率が上がるからだ。
「貴様が仕損じるとはな……それほどの者か? 」
信長は嬉しそうだ。
「ああ、あいつに騎馬隊を扱わせたら、世界でも五指には、入るだろうぜ」
「それほどにか……何者だ?! 」
「源九郎判官義経」
「ほう〜、あの? ……面白い。楽しみが増えたのう〜」
「あんまり驚かないんだなや〜」
「エルファンの王の素性を聞く前なら、驚いたがの……凱旋するぞ! 」
そうして、【黒龍の軍】は悠々とブランデン連合軍駐屯地に凱旋して見せた。
◆◇◆
アリストラス皇國軍、黒豹騎士団は野営準備に入った。ヒロトがある男を待つ為だ。
その男は夜半過ぎに騎馬部隊と共に到着した。まだ雨の降りしきる中、男は気にした風も無く、真っ直ぐに将軍がいるであろう幕舎の前で止まった。
「九郎、奴らは大変だったろ? 」
ヒロトが労いの言葉をかける。
「あんな奴だと知っていたら、もう少しやり方が変わったんだがな。あれは何だ? 」
「あれは千五百年代から来た、戦国の魔王だよ。世界で初めて銃撃による戦法を編み出した天才だ。俺の銃士隊は、奴の受け売りだよ」
「ビリーを見かけたよ。あいつ本当に向こうについたのか? 」
「わからない……なんか、訳がある様なんだが……」
「兎に角、無事で良かったな」
九郎が後から背中を叩かれて、ギョッとした。気配がわからなかった。
「おっさん! 気配を消して近づくなよな! 斬っちまうぞ! 」
「おっさん言うな! 総司も元気そうだな! 」
今度は総司の背中をバシバシ叩きだした。
「痛いですよ! 貴方もお元気そうで! 」
そんな総司と大男のやりとりをみて、斎藤が、
「何者だ、その変なおっさんは! 」
今度は総司がギョッとして、手振り身振りで、斎藤に何かを伝え様とするが、意味が通じない。
「ほほっ〜う! おっさんだけでなく、変なを付けるかよ」
「そのおっさんを、おっさん呼ばわり出来るのは、世界でも選ばれた者だけだぞ! 」
二人から詰められた挙句、名前を聞かずに喧嘩を売って、コテンパンに叩きのめされる羽目になった斎藤は、後から二人の名前を聞いて、もう一度気を失った。
【インターバル 壱】をお送りしました。
(映画【スティグマ】を観ながら)




