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177 誰かにトレースされている? 

【誰かにトレースされている? 】をお送りひます。


宜しくお願い致します。

 ヴァイアの街を、出立して三日目にはパルミナ国境を越える事が出来た。あとから追いついた黒豹騎士団本隊と共に最初の街であるエフェッソスに到着した。荒涼とした土地の中にあるオアシスである。その野営地に速報が届いた。


「トーウル王国王都が落ちた。主な王族はパルミナ連合王国に亡命。王都アレキサンドリアは、トーウル王国からの難民と、トーウル王国軍の残存兵力が押し寄せて機能が麻痺している」



「早すぎるな……それで、【黒龍の軍】は? 」

 事態の推移が、ヒロトの計算より一週間早い。



「貴様の読み通り王都を占領せず、そのまま今度は東に向かっている。もう少しで奴らもパルミナ国境に入る」

 ライラ騎士団長は幼さが抜けて、さらに女らしくなっていた。



「このまま行けば二日後にはぶつかるな。進軍速度を落とす……どうした? 」



「いや……馬に乗れている様だな。以前は乗れなかったのだろう? 」



「必死で練習したんだよ。馬での移動が出来ないと不便だからな……そんな事が聴きたいのか? 」



「……ビリーや総司がまた召喚されたのなら、武蔵殿もまた召喚された可能性はあるのか? 」

 ライラはもじもじしながら、下を向いて呟く。



「可能性はあるな……今回の大戦は【災厄の渦】の続きと言っていい。だからビリーや総司も召喚された」

 ヒロトのその言葉でライラの顔が、ぱーっと明るくなった。



「そ、そうか! うん、そうだな。きっとそうだ! 」

 


「ああ、多分皆んなにまた会えるさ」

 ヒロトは、もう少し黙っていた方がいいだろうと思った。



◆◇◆




 エフェッソスの裏通りは目抜き通りに比べると別世界の様に鎮まり返っている。頭からすっぽりローブを被った男は、前から歩いて来る場違いな存在を見て、呆気にとられた。



「白虎? ……正気か? 」

 男は前から歩いて来た女に、そんな言葉を投げかけた。



「いいでしょ? 好きなんだから」

 まるでギャル化した女子高生の出立ちだが、腰には似つかわしく無い日本刀をさしている。



「……本物か?? 」



「失礼ね! コスプレじゃあ無いわよ! 正真正銘私の学校の制服よ! 」

 腰に手をあてて、胸を逸らしてふんぞり替える。実際に女子高生なんだろう。



「JKが日本刀か……世も末だな。カズキには逢えたのか? 」



「まだよ。先にあんたを連れに来たのよ。朱雀が待ってるわ。カズキには考えが有る見たい。私も早く逢いたいんだけどね」

 白虎と呼ばれた少女の隣に、いつのままか別の気配が現れる。

 その気配に身構えるクラビスを無視して、その気配の主は、白虎に話しかける。



「遅いぞ白虎! クラビスを見つけたなら、直ぐに合流しろ」

 闇を体現した様なその気配は、気配は感じるが、実態が掴めない。


「五月蝿いわね。もう見つけたでしょう? 玄武、さっさと行くわよ」

 そう言った途端、白虎は既に路地の建物の屋根に飛び乗っていた。その動きにクラビスも、玄武と呼ばれたその影の気配も付いて行く。凄まじい身体能力だ。



「……何だ? 」

 クラビスが訝しむ。


「何よ? 」



「妙だ……マーキングされている? 」



「マーキング? 誰かにトレースされてるって事?? 」

 何言ってるんだと言う顔で、白虎は睨んでくる。



「俺のゴーストに何かが囁くんだよ」



「なにアニメの台詞ほざいてんのよ! 捨ててくわよ! 」

 そんな悪態を白虎につかれても、クラビスは遠くを見つめる。実際に意識に何かが触ったような気がしたのだ。気のせいかも知れないが、昔カズキと接触した時の様な懐かしさもあった。



(疲れているのか……ステータスに枝は付けられていない。ハッキングされたとも思えないが……)



「調整が必要だな。早くカズキと合流しなければ」

 最初からそこに誰も居なかったのごとく、白虎、玄武と共にクラビスの姿も掻き消えた。

【誰かにトレースされている? 】をお送りしました。


(映画【ブレードランナー】を観ながら)

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