172 おい、どうすんだこれ? (改訂-1)
【おい、どうすんだこれ? 】をお送りします。
宜しくお願い致します。
グランパレス氷河を、行軍する者達がいる。数万の軍勢は山岳地帯をものともせずに突き進む。途中の少数部族の国々を攻め滅ぼしながら、その軍や武装勢力を吸収し、さらに勢力を増大させて行く。
「そういや、旦那? あいつはどうしたんだぎゃあ〜?」
ビリーは隣の馬に跨るビードロのマントを羽織る男に声をかける。さっきから気難しい顔で考え込んでいる男の雰囲気に負けて、別に興味もない事を敢えて確認する。
「拠点にて作曲に勤しんでいる。奴は直接戦闘には向かぬからな」
「作曲ね〜優雅だなや〜。オラも拠点で手伝ってもいいだか? 」
「駄目だろう〜。お前は銃撃部隊の軍団長だからな」
冗談がまったく通じない。さっきから、何を考え込んでいるのか?
「もうそろそろ、南に行かないと、ライアット公国を素通りするぜ〜」
「そのつもりだ」
「素通りするのか?? 」
「である……」
「……」
信長は、なにを考えているんだ? どんどんアリストラスから距離が離れて行くぞ?
「貴様の感性は天才的だが、戦略的思考は不得手だの」
「悪う〜御座いましたね。頭が悪くて! け!」
◆◇◆
「クローディア、これで何匹目だ? 」
「百三十六体目かと」
腕を振ると、左腕から剥き出した機械仕掛けの装置が内側に収納された。辺りは大気がイオン化している。黒焦げになった化け物の死体が山積みになっていた。ここの入り口は凄まじい戦闘があったのか、破壊の後があった。だが、内側に降りてみると、床も壁も全く傷が無く、いつ造成された物かも、その材質もよくわからない。そんな構造材で出来た迷宮が広がっていた。
「キリが無いな。本当にこの地下に、動力反応があるのか? それも核融合どころか、対消滅エネルギーだと? 」
「私の人工知能をお疑いでしょうか? 」
クローディアと呼ばれた無機質な表情の女は、冷たく受け答えする。
「疑っちゃいないが……ここは確か四階層だよな? あと何階層あるかわかるか? 」
「エネルギー反応が検出された場所と、今までの階層の天井から床までの高さを計算すると、あと九十五階層です」
「マジか、ストップだ! そりゃあ無理だな。不愉快だが我が妹と合流してから、再トライするか」
この迷宮を構成する材質だけでも興味深いが、どんなに削り取ろうとしても無理だった。まさかと思うが、材質の時間軸自体が止まっているか、もしくは初めから無いかのどちらかかもしれない……
「何だ? プレートになにか書いてあるな? 」
階層主が居るであろう部屋の扉に貼られたプレートの文字を見ると、読めない筈の言葉が、何故か読める。
「……ロード・グランデ……大迷宮か? ここの名称か? 」
◆◇◆
「おい、どうすんだこれ? 」
ミカエラ・レッドフィールドは、ずぶ濡れになった上着を焚き火にかざして悪態をついた。相転移した先が、川の上空だったのだ。
「谷底の上空で無くて良かったよお嬢様」
背の高さは二メートル近い男が、串に刺した魚の向きを器用に置き換える。
「ざけんな! 風見鶏に会ったらぶん殴ってやるからな」
だがよく考えれば、確かにやばい状況だった。
「やややっぱ、ひひ日頃の行いなんだな。うん! 」
身体が丸々した男が、どもりながら話しに割り込む。
「やかましいわ丸ダヌキ! 日頃の行いなら、てめーだろ! ダイエットしろよ! ……ハハハックション!!! あ〜! 風邪引いちまうだろうが! 」
よく見ると白いシャツが身体に張り付いて透けている。それを見る鼻を伸ばした二人の男。
「ぶっ殺すぞ! てめーら!! 」
「そそそれは、ななな殴った後に言う事じゃ〜ないんだな。うん」
【おい、どうすんだこれ? 】を。お送りしました。
(映画【キャリー】を、観ながら)




