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170 エヌマ・エリシュ

【エヌマ・エリシュ】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 ヒロトはその名称に聞き覚えがあった。


(【エヌマ・エリシュ】は確か、バビロニアの創世記叙事詩だ。現世と同じ名称がある? 【マルドゥク】の名称も現世にあるはずだ……)

 この類似性は何だろ? 



「他に知る者は? 」



「……あとは我が宮廷魔導士筆頭のスターズなら或いは……彼は私の【神巫(カンナギ)】ですから」



「……【神巫】とは何の為に存在するのです?? 」

 総司はエレクトラから出された紅茶を大層気に入っている。サーシャがお代わりを入れてくれた。



「【神巫】は【巫女】を護り、システムとアクセスする権限を持っています」



「アクセスですか? 」

 ヒロトは今回の全て用意された物事に、胡散臭さを感じていた。

 何かに誘導されている気がするのだ。

(……思い過ごしか……)



「陛下とナターシャ殿下以外にあと二人【巫女】が居られますね? 」

 ヒロトも紅茶を頂く。



「グランドロア聖教連合法國のラメイア殿下、戦闘国家エルファンのミネーア猊下のお二人です。みなアリストラス超帝国から別れた王家に連なります」

 


「各国の軍と相対する前に、何とか手を打たねばならない。各同盟国に連絡して【黒龍の軍】を止める。またヴァイアの街が戦場になる。住民の退避をさせましょう」

 情報が少なすぎる。何処にあるかも分からない【マルドゥクの壺】とやらを 探せるのか??



「わかりました。直ぐに手配いたします。我が騎士団はいつでも出れます」

 流石はカルミナ総司令だった。【黒龍の軍】がグランパレスに向かったという一報を受けると同時に騎士団に臨戦体制を敷いた。

 グランパレスといっても、外縁部には少数部族からなる小国があり、それらを吸収しながら【黒龍の軍】はさらに勢力を増大させていた。


「新たな召喚を行なっていますよね? 会えますか? 」



「そのつもりです。皆修練場に揃っていますから、いまから行きましょう」




◆◇◆




 久しぶりの修練場だった。あれから四年近く経っている。中に入ると、青龍騎士団員たちと共に、教練を行う見慣れない者達がいる。その中でも一際派手な出立の男を見て総司が叫んだ。



「斎藤さん!? 斎藤さんじゃぁないですか?!! 」

 総司が声をかけた男に走り寄る。



「総司? 総司か! お前、その身体、大丈夫なのか!? 」

 斎藤は信じられない者を見た。千駄ヶ谷で病に臥せっている筈の男が元気に走り寄ってくる。



「この世界に召喚されたら、すっかり身体が治ってたんですよ!

それより斎藤さん、いつこっちに? 」



「ああ、一月前だ。新政府軍と会津で戦闘中にな……」



「そうですか……土方さんは? 」



「あの人は、北に向かった。榎本海軍副総裁と石巻で合流して、多分今は蝦夷に向かう筈だ」



「蝦夷……遠いですね」



「俺たちの方がよっぽど遠いだろ。あいつが聞いたら、さぞ悔しがっただろうな」

 斎藤はこの地に来て以来の満面の笑みを浮かべた。



「違いない。お前らだけ、そんな楽しい事をやって、ズルいとか、何とか言いそうですね」

 総司も一緒に笑みを浮かべた。こんなに嬉しい事はない。

 だが直ぐに斎藤の表情が固くなる。腰の刀に手をかけて、殺気を放った。総司の後にヒロトを見たからだ。



「駄目ですよ斎藤さん! ヒロトは味方です! 」


「ヒロト?! 日本人か? 」

 総司の言葉でも警戒は解かない。凄まじい(プレッシャー)を感じたからだ。



「あぁ、宜しくな。斎藤一さんだったっけ? 」

 ヒロトは右手を差し出した。


「……俺の名を知っている? ……馴れ合いはせん」

 そう言いながら、刀からは手を離す。

 すると、いきなりヒロトの首に腕を回して寄りかかる者がいた。



「いい男じゃないか? あんたらも召喚者かい? 」

 ワイアットはいきなりヒロトに胸を押し付けて尻を撫で回した。



「なななんだ? あんた? 」



「ワイアット・アープだ! 宜しくな」

 そう言って、ニッと笑顔で答える。

【エヌマ・エリシュ】をお送りしました。


(映画【羅生門】を観ながら)



「……ちょっとあんた! そこのあんたよ! ほら、【ブックマーク】を押しなさいよ! ……あんた。すこし私のお兄ちゃんに似てるわね……わかったわ、軽く押すだけでいいわ! ほら……あっ……ち、ちょっと駄目! ……軽くって言ったじゃない……そんな激しく押されたら……私……お兄ちゃん〜!!! 」


あざーす!!

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