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高柳博人あらため、ヒロト

【高柳博人あらため、ヒロト】をお送りします

二人の魔人に向き合う博人には、幾らかの気負いも無かった。ごく自然体で立つ。そう義孝には見えた。何故目の前に生きた博人が現れたのか? 話したい事ばかりだが、この魔人達を排除する方が先だった。だがこの尋常ならざる敵を一人で倒すという博人。自分の知る博人とは、雰囲気が違っていた。


「ヒロト、ただの人間だよ」


「ただの人間が、我と同じ力を使えるなど、ありえん! 」


「……我と交代するか? 」

 初めて鉄仮面がしゃべった。みるみる白い髭の男の顔色がかわる。


「冗談を抜かすな、殺すぞ! 貴様は黙って観ておれ」



「俺は二人同時でも構わないよ」



「調子に乗るなよ小僧!! 」

 両手を役小角が上げると、前鬼と後鬼が同時に動いた。動くと言うよりも、一度消えて、博人の真後ろに現れ、手に持った巨大な太刀で、博人の首を飛ばしにかかる!が、すでに博人はその場に居ない。前鬼、後鬼の背中に手を添えて、何事かを呟くと、両方の鬼が炸裂した!!

 鬼達が炸裂した影が、伸びてきて、博人の四肢に絡みつき、拘束した。その博人を黒い球体が覆いつくす。


「亡者結界に呑まれおった。そのまま黄泉(ヨモツ)へ?? 」

 球体の中に亡者が溢れ、博人を呑み込もうとする瞬間、鍔鳴りが轟き、その黒い球体が真っ二つになり、弾け飛ぶ。亜空間の結果の断片が舞い散るなか、何事もなかった様に博人が立つ。いやその姿は、博人では無く、ヒロトだった。


「馬鹿な?! 亡者召喚を消し飛ばしただと?? 」 

 

「【魔剣サザンクロス】は、亜空間すら切り裂く。無駄だ」


「どうやら、貴様を甘く見ていた様だ。京の都を手に入れて、作り替えるつもりだったが、仕方がない」

 そう言い終わると同時に、役小角の周囲にいくつもの魔法陣が形成されてゆく。



「……殷時代の呪言方陣?! 」

 この紋様、ヒロトも見るのは初めてだった。日本の呪術体系より古い。



「日の本の呪言の始まりの呪法だ。貴様ごときに破れること叶わぬ」

 形成した魔法陣が、今度は上へ上へと幾重にも折り重なってゆく。



「積層型魔法陣?! 都ごと破壊するつもりか?! 」

 ヒロトが両手で印を結び始じめ、なにやら右足で地面に、紋様を描く。



「いかん!! 土御門の全陰陽師につぐ、ただちに防御陰行結界を最大展開!! 後方展開中の自衛軍を全力で守れ!! 」

 義孝も防御結界発動の為に、祝詞詠唱に入った。だが、あれほどの膨大な魔力を奴は、何処から捻出しているのか? 義孝は疑問だった。



「ふん、凡人共が何をしようが無駄だ。その昔、殷の大軍勢を一瞬で滅ぼした局地殲滅呪法【禍渦(マガウズ)】をくらうがいい!! 呪力の弱い奴から死に絶えるぞ! 幾ら貴様とて、この強大な呪力を相殺はできんぞ!!! 」

 役小角は、高笑いを始めた。その視線がヒロトと交差する。


「はぁ〜、たしかに強大だ……でも、それでも相殺出来る奴が、こっちには居る」

 ヒロトがそう言うと、いつの間にか純白の狩衣を着た美影身が佇んでいた。



「お初にお目にかかる。我は、安倍晴明(アベノハルアキラ)

と申します」




【高柳博人あらため、ヒロト】をお送りしました。


(Netflix【ミスキング】を観ながら)

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