高柳義孝②
【高柳義孝③】をお送りします。
宜しくお願い致します。
「前鬼、後鬼だと?? 馬鹿な、その鬼は、我ら土御門の始祖が従えた鬼神だ。なぜ貴様が召喚できる?? 」
義孝は、混乱した。その鬼は、かつて始祖である安倍晴明が自らの盾として使用した式神の筈……
「ほぅ? 前鬼と後鬼を従えた者がおるのか? 多少は呪力の扱いを理解する者も現れたという事かの……前鬼と後鬼は、我が地獄界より連れてきた鬼子よ」
「連れて来ただと……貴様は、ひょっとして……」
「ほう? 我を知る者もおるかよ」
「?! 俺の思考を読んだのか……役行者、役小角……そんな事があり得るのか?? 」
役小角、葛城流加茂氏を祖とする三輪一族の太祖。飛鳥時代の妖術師である。大陸から渡来した神仙術と、日本古来の呪術体系を融合させ、金剛蔵王権現を感得し、【修験道】を完成させた。陰陽の極意を加茂一族に伝授したとされる。
「貴様の考えは正しい。貴様らの陰陽は、我が加茂一族に伝えたモノよ。だがそこから大きく発展した様だの」
「何故です? 貴方は何故?? 」
「何故甦り、何故この様な事を行なっておるのか? か? ふん、呪いじゃ」
「呪い?? 呪いの力に強制されているのですか? 」
「悔しいがの。我の呪力に強制を施す程の力。まさに呪いよ。よもやそんな力があろうとはな、だが必ず奴は、我が殺してやるわ……が、今は貴様らよ。この都を灰にせねばならぬ」
その言葉と同時に、役小角の妖気が膨れ上がった! 前鬼と後鬼が高柳に襲いかかる。
「やむおえん!! 邪神即滅! 厭魅斬り!! 」
腰の太刀に手を添えて、呪力を載せた神速の抜刀!!
前鬼の胴を横から真っ二つにし、その刃を、下から後鬼を斬り上げる!
「なんと!? 」
高柳はその手応えの無さに即反応した。直感的に後方へ飛んだのだ。数瞬まで自らが居た場所が消し飛ぶ!
「飛燕をかわすとは、いやはや素晴らしい」
その言葉に合わせて、前鬼と後鬼が、高柳を追撃する。
「貴様のその身体能力、呪力を太刀に纏わせる刀法、誠に見事なりや。この世界に甦ったかいがあったわ」
前鬼と、後鬼の追撃をかわす高柳をみて、しんそこ関心した。
「そりゃどうも。亡者に褒められても嬉しくないがな」
だが余裕はあまり無かった。手数でなんとか凌いでいるが、一つ間違えれは、即終わりだと理解している。懐から人形を取り出して空に放つ。その紙が巨大な三匹の獅子となって、前鬼、後鬼に襲いかかる。
「面白い式神だの。簡略化された術式か? だが惜しいな……」
役小角の瞳に、紅い光が灯った瞬間、高柳の放った式神は、炸裂し、消滅した!
「な?! 何をした?? 」
「なぁ〜に、大した事はしてはおらぬ。貴様と式の線を切っただけだ」
役小角は、白い髭を撫でながら面白そうに笑をこぼす。
【高柳義孝③】をお送りしました。、
(映画【インターステラ】を観ながら)




