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256 オラの柄じゃ〜無いだよ

【オラの柄じゃ〜無いだよ】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 ビリーが、ヒロトとグラウスの間をすり抜けて、真っ直ぐに倒れた信長に向かって走る。その信長は、あろうことか、頭が弾け飛んだ筈なのに、地面に右手をついて、身体を起こそうとする。頭が半分吹き飛んでいる。



「化け物め!! 」



 信長がその太刀でビリーを薙ぎにかかるが、それを左にかわして、ショットガンの引き金を信長の胸に発射した!まともに弾丸の雨を喰らって、流石に太刀を落とした瞬間を、ビリーは狙っていた。



「【村雨】は貰い受ける! 渡世の仁義なんでな、悪く思うなや〜! 」



「貴様の目的は、その妖刀だったか……ふっ、」

 既に信長の頭も胸もほぼ自己回復している。



「殿! 」

 スレインと、クローディアが駆け寄ろうとしたら、不可視の防壁に阻まれた。



「よい、放っておけ。ビリーよ、後で必ず取り戻すぞ。それまで預けて置く。大事に扱うがよい。行くぞ! 」

 そう言って信長は踵を返して、数メルデ上にある、アヴァロンの出入り口に飛び乗った。スレインも、クローディアに抱えられ、信長に続く。



「まて!! 」

 グラウスは自身が動かなかった事に後悔した。アヴァロンの出入り口が塞がり、反重力推進が始動した。



「陛下、下がって! 奴は必ず仕留めます。今は、本国に戻り、我らもエヌマ・エリシュに向かいます。ビリー! もう戻れるだろ? 」

 ヒロトは、離れた場所で脱力しているビリーに合図した。



「わかっている……わかっているだよ。【妖刀村雨】さえ手に入れば、何とかなる筈だなや〜」

 大空洞の岩盤を、アヴァロンは、すり抜けて行く。岩盤を構成する物質の分子構造の隙間をすり抜けたのだ。



「ちょっと! もう終わっちゃったの?? アヴァロンが取られてるじゃないの?! 」

ちょうどそこへ、入れ違いに、クリスが現れた。





◆◇◆




「ビリーさん!! 」

 頭を弾かれた筈の総司が、真っ先に走り寄って来た。アヴァロンを抑えられなかった為に、軍を一旦引いて、野営地にゴドラタン帝国軍、アリストラス皇国軍の双方が事後処理に追われて居た。



「済まなかったな……悪かっただよ〜」

 総司とビリーが対峙した瞬間、ビリーが演技していると、総司は直ぐに気がついた。監視がついていたビリーは、空砲まで用意して、総司を弾いてみせ、監視を欺いた。その辺は阿吽の呼吸だった。



「儂は最初から知ってたがの〜」

 ニヤニヤしながら、武蔵がそんな事を言うものだから、



「なら教えて下さいよ。こっちは、あの瞬間まで、本気で殺し合う覚悟をしてたんですよ?! 」

 


「ビリーから、口止めされてたんじゃから、仕方がなかろう? 」

 ビリーは、本気の総司と、一度相対してみたいと言い、武蔵と九郎に口止めしていた。



「九郎も知ってたの?? 」

 ヒロトも呆れて疲れて来た。



「元々、黒龍の巫女に召喚されたんだけど、直ぐにアリストラスに向かって、そこで九郎にオラから相談して、九郎が計画をたてたんだなや〜その時、皆んなには内緒の方がいいって……オラの柄じゃ〜無いだよ…….その後、喋りたくて、喋りたくて、寂しかっただよ〜」

 九郎らしいと言えば、九郎らしい。ビリーらしいと言えば、ビリーらしい。



「呆れた……ヒロトが止めなかったら、広域核撃魔法をぶっ放すところだったんだよ?! 」

 ジャンヌも久しぶりに明るくなった。

 


「とにかく、これが【妖刀村雨】か? 3年前には、天草四郎時貞が持っていた。それを信長が手に入れたのか? 」



「本来は、現世で信長が持っていただよ。その遥か前は、晴明の陰陽道の儀式用の太刀だった」



「儀式用? 」

 ヒロトは、村雨の鞘に、晴明印であるセーマンが彫り込まれている事に気がついた。いわゆる五芒星だ。



「元々は古代の太刀だった物を、室町時代に、新たに打ち直した刀だよ」

 生前、晴明から聞いた話しだから、当時は興味も無くて、あまり理解していなかった。



「それでこれを、どうするのだ? 」

 グラウスは、直ぐに本国と、アリストラス皇国に伝令を走らせて、エヌマ・エリシュへの追跡部隊編成に取り掛かっていた。



「これは鍵です。ある巻き物の封印を解く為の鍵。そこに安倍晴明を復活させる為の情報があるのだと考えます」

 そう、それはスターズが、災厄の渦の後に手に入れた、安倍晴明の書。いまはエレクトラが保管している。

【オラの柄じゃ〜無いだよ】をお送りしました。


(映画【オーメン】を観ながら)

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