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255 事象の糸

【事象の糸】をお送りします。


宜しくお願い致します。

「奴の攻撃力が、ハヌマーンの防御力を上回るのだろう?

単純な話しよな」

 信長は、あくまでも冷静だ。面白がっている様にも見える。



「時間軸の無い装甲を破壊するなど…….いや、時間軸の無い攻撃なら或いは……そんな事があり得るのか? 」

 スレインの焦りは、理解を超える事象に対してのものだ。



「理屈はいい。それよりもどうだ? 」

 


「は? あ、いえ、もう突破します」

 やっと思考が信長に追いついた。スレインが端末を操作すると、右手側の空間に歪みが発生した。その歪みが大きくなったと思ったら、そこからクローディアが、何事も無かった様な姿で現れた。



「ば、馬鹿な?? 貴様は【パンドラ】で、混沌に飛ばされた筈?! 」

 グラウスは驚愕した。未だかつて【パンドラ】の攻撃を破った者など居なかった。



「科学方程式も、魔導方程式も、所詮は計算の上に存在する。現代の量子演算ならば、あらゆる事象も操る事が可能だよ」

 スレインは相変わらず端末から目を離さずに、受け答えをする。



「陛下、私がやります」

 グラウスの脇から、ヒロトが前にでる。一瞬眼を瞑り、一気にトランス状態に意識を持って行く。



「 暗黒天使火焔波動(バイロンストライザー)!!!!!! 」

 世界が暗転した! いや少なくともクローディアの量子AIは、世界が暗転したと認識した。



「な?! 何だ事象改変?? 」

 クローディアは、直ぐさまヒロトに超高熱ビームを放ったが、そのビームがヒロトを貫通しても、ヒロトにダメージは無かった。



「幻術だと?! 」

 クローディアの疑問符は、同時にスレインの脳に意識共有される。だが量子AIは、現実と幻の判断に揺れていた。スレインの脳は幻術、クローディアのAIは現実だと結論付けた。



「何だこの術は?? 存在自体が薄くなる様な? 」

 スレインが地面に膝をついたのと、同時に世界は突然元に戻った。


 鍔鳴りが聞こえた。



「まさか世界を斬ったのか? 」

 ヒロトにも全てを理解は出来なかった。だか信長が居合斬りを行なった事だけは知覚した。そのおかげで、何も無かった事になっているのだ。



「面白い事をしよるの〜。貴様、魔人の類いか? 」



「あんたに言われたくないな……事象の糸を斬ったのか? 」



「お主なら、言わずとも理解しているのだろう〜」

 その信長の言葉に、はじめてヒロトは焦りを覚えた。ヒロトが行なった術は、現実と夢を重ね合わせて、相手の意識を刈り取る術だ。だが信長は、改変された世界を斬って、元の状態に戻して見せたのだ。



「何故だ?! 何故そんな事が出来る? 」



「さてな……物心ついた頃には、既に出来ていた事よ」

 その言葉と、信長の頭が弾け飛んだのは、ほぼ同時だった。轟音が大空洞に響き渡る。



「?! ビリー?? 」




◆◇◆




 世界が暗転したと同時に、ビリー・ザ・キッドは、魔道式超電磁加速粒子砲(マジックリニアレールガン)を岩陰に固定して、照準を信長に合わせ、自身の殺気は封印した。

いまの状況で射撃しても、奴には防がれてしまう。ヒロトの術が発動した以上は、必ずチャンスが来ると確信していた。そして信長が、ヒロトの術を破ったその隙を狙い、引き金を引いた。



ズガガガガガガガガガガガンンンンンンン!!!!



 信長の頭が弾け飛び、手にした【妖刀村雨】を手から落とした。そして直ぐにショットガンを亜空間収納から取り出して、ビリーが走る! 


【事象の糸】をお送りしました。、


(映画【三度目の殺人】を観ながら)

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