表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/147

254 混沌の渦へ

【混沌の渦へ】をお送りします。


宜しくお願い致します。

 既にハヌマーン二機が、大空洞に侵入してしまった。このままでは、帝都防衛騎士団が壊滅する恐れがある。大空洞の入口まで来たヒロトは、立ち止まってグラウスの前に周り、その額に人差し指をあてる。



「私は大空洞に行った事は有りませんので、陛下の記憶を使わせて頂きます」

 そう言って、グラウスの額から指を離したヒロトは、その指を自らの額にあてて、目を瞑る。

 グラウスが瞬きした瞬間、そこは大空洞最下層、アヴァロンの直ぐ側だった。



「なんと!! 」

 ヒロトは、人の記憶を読み取って、空間転移して見せたのだ。

(この男、三年前とは魔力の質も、量も段違いに成長している……)



「陛下……」

 ヒロトが見つめる先に、ナルザラスが佇んでいた。あたりには焦げ臭い匂いがする。凄惨な光景が広がっていた。帝都防衛騎士団の選抜部隊は既に壊滅していたのだ。


「ナルザラス……我が師よ……何故だ? 」

 グラウスは、目の前の男を哀しい目で見つめ返した。 


「何故と、問われまするか? 私は【神巫】です。そのお役目は、産まれた時より定められた事。我ら【神巫】の遺伝子はシステムによって設計され、システムの為だけに存在を許されていおります」

 ナルザラスは、そう言いながら手に持った杖を、アヴァロンに翳す。すると、アヴァロンの船体に眩い緑色の光が、船首から船尾に向かって走る。



「これで、アヴァロンは目覚めました。あとは、ナターシャ様をお迎えするだけ」



「ナターシャを解放しろ! 何故エレクトラ陛下ではいけないのか? なぜ殺し合う必要がある?? 」

 


「四人のうち、残った者こそが、強き超帝国皇帝となる器。システムが最後に施す【試し】」



「そんな事の為に民衆を巻き込んで……」



「……ヒロトよ、それは戦国では当たり前の事よ。実力も無い者が、人の上に立てば、それこそ悲劇ぞ」

 いつの間にか、織田上総介信長が、そこに佇んでいた。



「貴様が、織田上総介信長か? 」

 グラウスは、信長の剣の間合いをはかる様に、少しづつ移動する。



「である……貴公が、グラウスか? 噂は聞いておるぞ。千年たっても、この世界を手中に出来ない男だとな」

 信長が、指をパチンっと鳴らすと、二機のハヌマーンが躍り出て、信長の左右に着地する。そのハヌマーンからスレイン・東堂・マッカートニーも着地して、アヴァロンをみて、口笛を鳴らす。

 


「我がボナパルト家は、現世での過ちを繰り返すつもりは無い」



「その甘さが、世界に火種を作っていると、何故気づかぬ? 」

 信長が上げた右手を、軽く振り下ろす。それに合わせてハヌマーンの全面装甲が跳ね上がり、超高熱ビームをグラウスに照射した!



「?! ほう? さすがよな〜」

 信長は素直に感嘆した。ヒロトが翳した手の前に、不可視の障壁を構築し、ハヌマーンのビームを塞ぎきったのだ。そのままヒロトは、その左掌に神霊力を一気に集中させて一言、


魔弓獣呪断層(ドゴスバルファー)

 ヒロトが小さく呟く。するとルーン文字が左腕に浮かび上がり、高速回転、それが掌に吸い込まれたと思った瞬間、凄じい指向性エネルギー波が、信長に襲いかかった!

 その信長を庇う様にハヌマーンがその身を盾にして、エネルギー波を防ごうとする。だが、あろう事かハヌマーンの装甲が溶解したのだ!



「馬鹿な?! ヒヒイロカネ製の装甲が?! 」

 スレインは信じられないと言う顔をしたが、学術的興味が上回り、思わず笑みを溢した。時間軸の存在しない装甲材を溶解させる魔法とは何なのか?

 ハヌマーンの装甲を溶解貫通し、内部構造体が爆裂した。炎を上げてハヌマーンが起動停止する。



【混沌の渦へ】をお送りしました。


(映画【夏の終わり】を観ながら)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ