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第肆怪 汚れた足

 これは私が職場で遭遇した怪異についてのお話です。


 皆さんも、静かな住人にはお気を付け下さい。

 私の職場は古い書店で、築数十年は経つ二階建ての建物です。


 少し大きな地震が起きると、天井の一部が落下してきたり、フロアの一部分が若干ですが割れていたりするほどです。


 そんな古い建物で働いていると、怪異に遭遇することもしばしばで──


 その日もフロアの掃除をするため、まずは階段からモップを掛けることにしました。


 上から下へ、少し危険ですが、階段を後ろ向きに下りながら一段ずつ。


 二階には会議室もあり、よく偉い人達も来るので、お客様には直接見えないこの階段も、綺麗にしておく必要があります。


 私の他にあと二人、シフトインしており、一人は駐車場の掃除、もう一人はカウンター周辺の開店準備をしています。


 なので、おかしいのです。


 階段も残り数段となったとき、一番下に見えているそれは、今日いる誰のものでもなかったからです。



 土で汚れた裸足。


 しかも、足首を境に上は無く、下のみの足が、私のすぐ後ろにあったのです。



 下がれば何があるか分からなかったので、私はモップ掛けを途中で止め、振り向かず再び階段を登りました。


 気づかぬふりをして、出来るだけ平常心を保ちながら、前だけを見て。


 幸いにして、憑いてくる気配はなかったので、私はしばらく二階で時間が過ぎるのを待っていました。


 その後、同僚がやってきたので、一緒に下りたのですが、今掃除したばかりの階段に、泥が乾いたような跡が散っていたのです。



「あれ? さっき掃除してたよね?」


「そうなんだけどね……」



 怪異の類を全く信じない同僚に、さっき起きたことを話したのですが、案の定、見間違いじゃないかと相手にされなかったので、それ以上、深く話すのを辞めました。


 それ以降、階段の掃除を行う際には、後ろ向きに下りることはなくなりました。


 あの時見たものは一体何だったのか、未だに分かりません──

 新しくても古くても、物には歴史があります。


 もしかしたら、この土地自体に何かあったのかもしれませんし、それは私には分かりませんが……。


 お読み頂いた皆様に、穢れが寄り憑きませんように。


 次回は、肝試し中に起きた怪異についてです──

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