第弍怪 青写真
これは私が高校生の頃の話です。
祖父母が亡くなり、母方の実家とはあまり連絡を取らなくなっていた頃。
こんな夢を見たのです──
そこは真っ暗で、天地も前後も分からない夢の世界。
しばらく歩を進めることにしました。
すると、今まで距離感の無かった空間に小さな光が射したのです。
その光はこちらに近付いて来るや、私を包み込みました。
「あっ、赤ちゃんだ」
そこには、小さな写真立ての中で笑顔を見せる、小さな小さな女の子が写っていたのです。
どこの子なのか分からず、ただ眺めていると──
「頼んだよ」
声の主は、亡くなった私の祖父であり、その隣には同じく亡くなっている伯父の気配を感じました。
二人は写真立てを持ち、私に微笑み掛けると、そこで目が覚めました──
朝食時、私は母に夢の話をしていると電話が鳴った。
母の実家からだった。
しばらく楽しそうに話をしていた母が、ハッとした顔を私に向けたままこう続けたのです。
「あら。今、うちの子からその話を聞いたところ」
恐らく相手は意味が分からなかったのだろう。改めて母が説明を始めた。
いとこのお姉ちゃんが安定期に入ったので、妊娠したとの連絡をしてくれたらしいのだが、まだ誰にも話していなかったらしい。
「きっと、おじいちゃん達が知らせてくれたんだね」
母のその言葉に胸が温かくなって、一足先に会えたことを幸せに感じた。
数ヶ月後──
赤ちゃんは無事に生まれた。
喜びの言葉と共に、スマホに届いた赤ちゃんの写真は、あの日見た、あの時のそれと同じものであった。
「はじめまして……じゃないか。久しぶり、赤ちゃん」
予知夢というのは本当にあるようです。
いい夢ばかりならいいのですが──
夢と現実が繋がることってありますよね。
正夢というのでしょうか。
夢についても不思議な話はまだあるので、いずれ綴ろうと思います。
お読み頂いた皆様に、穢れが寄り憑きませんように。
次回は、現在私が暮らす部屋についてのお話です──