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15 2人きりのお茶会の効果

 残り2週間……約14日の時間ではじめられた2人きりのお茶会は、それぞれの令嬢からも好評だったようだった。ケイたちの噂話が私の耳にも入ってくる。私と殿下のお茶会の話も誰かの耳に入っているのかしら、と思うけれど、そんなに深い事情が分かるような噂話は当たり前だが飛んでこない。


 そんなに口が軽いようでは、王宮の使用人など務まらないのだ。


 一人につき3回のお茶会の後、最後の晩餐会の前にはまた全員でお茶をして、最終日の晩餐会で殿下がダンスを申し込んだ相手が『リリィクイン』の中で王太子妃に選ばれた相手となる。


 ただ、深い事情は入ってこなくとも、ある程度の予測のような物は飛び交うことになる。


 ユーグレイス様はどうにも殿下とのお茶会でもワガママ放題なようで、何度かお菓子を取り替える事になったという。それだけ聞けばもう分かる、彼女はきっと選ばれはしないだろう。


 皆でお茶をしていた時にもそうだったが、彼女は自分の立ち位置をワガママを言う事で確認しているような部分があった。私はそんな彼女のワガママで空気が悪くならないように、と時には同調したり、話を逸らしたりしていたが、イリア様と違って根が深そうだった。


 イリア様は郷愁からだったが、ユーグレイス様は『リリィクイン』に選ばれたことで自分こそが王太子妃に相応しい、と思い込んでいるのだろうと思う。


 一方、ノラ様は変わらずおっとりと過ごされているようで、お茶の時間も穏やか……と言えば聞こえがいいが、特に話題も無く当たり障りなく過ごしているとのこと。本来私がやりたかったのはそういうことなのかもしれない、という立ち居振る舞いを完璧にこなしていらっしゃる。


 これがわざとだとしたら、ノラ様はとても侮れない方だ。仲良くしておいてよかったと思う。今度、お互いのお茶会の日が重ならない日にでも少しお話でもしに行ってみようかと考えてもみた。が、ノラ様はきっと私にものらりくらりと話を逸らす可能性もある。それでも、得る物は何かあるかもしれない。


 メイベル様はかなりの猛攻を仕掛けているようだが、殿下の反応はいまいちらしい。どうにも、政治的な話が多くなりがちで、まるで会議のようらしいです、という話が聞こえてくる。


 お茶会のお菓子は2人分には多いくらい用意されていて、毎日誰かの好みのお菓子が宮の夕飯のデザートについて来る。これならば無駄にはならないし、当日お茶をした相手も、自分の好きなお菓子をもう一度食べられるのだから得をしている。


 そして巡って来た2回目の私のお茶会の時間。今日は、もう話す事は決めてある。そして、ちょっとした贈り物も用意した。


 アリサに贈り物を持たせてお茶会の会場に到着すると、今日も立ったまま殿下は待っていて、私を見て少し微笑んだような気がした。


 あまり表情が動かない方だと思っていたが、あれ以来……あの夜の邂逅以来、なんだか少し表情が柔らかいように感じる。それとも、私がただ見逃していただけで、本当はずっとこうして微笑んでいてくれたのだろうか。


 今日も私が座ると同時に腰掛け、お茶を飲みながら「息災だったろうか」「殿下もお変わりなく?」などの挨拶から入った。


 そして、今日は私が素直に話す番だった。


「殿下、私の祖母の事はご存知ですか?」

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