第一話
初めて小説を投稿します!脱字誤字が多いかもしれないですがそこは優しい目で見てください。。
「もうお前は明日から来なくて良い!」
その言葉を受ける日が俺にも来るとは思わなかった。
つい先日、まだ26歳の俺は仕事で揉め事が起きて自分が責任を取ることになり会社をクビにされた。上司の好き勝手にされるのに耐えかねて直接言い合いをしたらこのような形になってしまった。
昔から正義感が強かったためか自分が間違ったと思うことについてハッキリと言うタイプだったから社会に上手く馴染むのは難しかったのかもしれない。
自分の気持ちに嘘をついて偽るのが反吐が出るほど嫌いだ。
そう強がっていたが俺はもう駄目なのかもしれない。数日は何もできなくなってしまい途方に暮れていた。
そんなある日、昔に短期のアルバイトで農業のお手伝いをさせて頂き仲良くしてくれた人から連絡があった。その内容は偶然その人の近所に住んでる人が引っ越すらしく家のことでどうしようか考えていたところであった。
このチャンスを逃がすわけにはいかないと思い、特別に安い値段で家を売ってもらいその周りの土地ごと引き継ぐことができた。
そして俺は地方の田舎の方に移住して自分の畑を持ち農業をすることになった。仕事をクビにさせられた時にこの環境を一新して何か違うことをしたいと考えていた矢先に訪れた連絡であった。
そうして俺の第二の人生が幕を開ける。
ここに別れを告げ随分と長い時間車を走らせ辿り着いた。俺は思わず目を見張った。そこは今までの嫌な思い出を忘れるくらい壮大な自然で力強い生命力を感じる。
ここでなら上手くやれる。今までとは違う環境で俺は変わる。
田舎といっても車で15分くらいしたところにスーパーがあり、子供たちが通う学校もある。流石に今まで住んでいたところと比べると周りには何もない。しかし周りを気にする必要もないし開放的な気分になれる。
社会のストレスを受けないで済む。久しぶりに子供になった気分だ。
だが26歳で老後夫婦が送るような生活をしていていいのか。この決断が正しかったのかは今でも分からない。
俺はイラスト関係の仕事をしていた。元々イラストを描くのが好きで大学も美術大学に通った。
大学時代に個人として特に功績をあげたはわけではなかったが、イラスト関係の仕事に就いて自分の好きなことで生きていこうとしてた。その行動に迷いはなかった。
しかし仕事では自分のやりたいことができるわけではなく雑用も多くやらされ、いつのまにか自分のしたいことが分からなくなり自暴自棄になりかけていた。
このまま続けても意味がなくちょうど潮時だったのかもしれない。
いつまでも悩んでいてもしょうがない。そんなことより生まれてこの方彼女ができたことがなくこのまま独身で孤独に死んでいくのが怖い。ここに来たことでさらにその確率が高くなってしまった。
中学生の時に告白して振られて以来、女性不信になり大学生の時に良い雰囲気になったのにも関わらず何もできなかった。そんな俺が結婚なんてできないし面倒くさい。
もっと青春しておけばよかった。俺は頭を掻きながら少し後悔した。
ピンポーン。
インターホンが鳴った。俺は慌てて靴の踵を踏みつぶしながら玄関の外へ出る。
「今日採れた野菜持ってきたよ。いきなりここで暮らすのも大変でしょ。」
彼女は重たそうに大きい袋を持っている。話しかけてきたのは先ほど話した昔仲良くしていただいた人だ。
名前は鈴木ユウコさん。俺はユウコさんと呼んでいる。
年齢は50歳前半、年相応の皺があるが愛嬌があり若さを感じさせる。男勝りな性格で少々恐いところもあるがとても頼りがいがある人だ。
「ボーっとしてどうしたの?」俺の顔を覗くように訊いてくる。
「なんでもありません。まだ慣れないことも多くて少し疲れていて。」
「元気が足りないわね。栄養が足りてないんじゃない?」と言ってユウコさんは野菜がたくさん入った袋を差し出した。彼女の畑で採れたものである。
どの野菜も新鮮で身がしっかりしている。とても美味しそうだ。
「すみません。ありがとうございます。もう少ししたら野菜が収穫できるんですけど。」
「まあいいのよ、私一人だし。どうしても余ってしまう分が出るから。」
「じゃあお言葉に甘えて頂きます。」
「ありがとね。」とユウコさんはニコニコしながら俺の背中を叩いて自宅の方に帰っていった。
痛い。力加減ができないのかこの人は。その元気とは裏腹に帰彼女の後姿は少し寂しげであった。
ユウコさんは数年前に夫を亡くした。若くして難病にかかってしまいあっという間に帰らぬ人となってしまったようだ。娘さんが二人いるが今は二人とも東京に行ってしまい年に数回しか返って来ないらしい。
ユウコさんが帰った後、俺はいつも通り何か特別なことをするわけでなく一人の時間を過ごす。夕日が沈むとあっという間に田舎の空は茜色から暗闇へと変わる。
周りには外灯もなく無数の星が輝いている。都心では見られない夏の星空だ。
圧巻で俺の語彙力では表現できない。こういう時に文才でもあればとつくづく実感する。
そんなことを考えながら俺は夕飯の準備を始める。東京で働いてるときは忙しくてロクに自炊なんてしてこなかったが、今は時間があるので朝昼晩しっかりと自炊をしている。
今日はユウコさんから貰った野菜を使って料理をする。新鮮な野菜でつくるものはなんでも美味い。
一人前だけ作るのは難しく余ってしまうが翌朝に食べるので問題はない。むしろ一日経った飯は最高に味が染みてて良い。
夜御飯を食べた後は風呂に入り就寝の準備に入る。
この家には縁側がある。そこにただ何も考えないで座る時間が至福である。
コロコロ。コロコロ。
コオロギなど夏の夜に鳴く虫の鳴き声が聞こえてくる。周りの生活音は一切なくまるで別世界に来たような気分になる。
虫は苦手だがここにいるうちに慣れるだろう。
そよ風がとても心地よい。
少し経った後、俺は布団に入り眠りについた。
次の日はこの町から離れたところに予定があるため車で2時間ほどかけて大型ショッピングモールのある少し栄えている場所に向かった。
自分が住んでるとこではほとんど見かけないお洒落な服を着た若者を見かける。たまにはこういうところに来ないと感覚が鈍ってしまいそうだ。
買い物を終え車で帰る。
車に乗って少し経つと景色が一変して田んぼ道に変わる。違う国ではないだろうかと思うぐらいに世界が変わる。
自分の町に入り自宅に向かう道中、そこに人影があった。女子高生?まだ高校の授業が終わる時間帯ではないはずだ。
近づいてみると彼女の身なりはみすぼらしく制服もよれよれであった。しかしその姿を覆すほど艶麗であり可愛らしい顔立ちをしていた。
思わず見惚れてしまうほどに。
今にも倒れそうなほど異様な雰囲気であったので思わず声をかけた。
「大丈夫ですか?」
週一くらいで書けるようにします。