あたまのなかに咲く花
仕事というのはいつも残酷なものだ。
対抗組織を出し抜き、邪魔になれば排除も余儀なくせざるをえない。これは、狩猟や農業の原始的文化さえ、対自然や獲物に対し付き合わざるを得ない、人間の業ってやつだ。
今回の仕事は「脳に花を埋めこまれた人間たちの殲滅」。掃除屋の仕事の割には割にあわなすぎる。政府かもっとでかいエージェントが絡んでいるのか、金だけはたんまり貰ったからやるしかないが、こっちのチームは俺と相棒のヨハンだけだ。無理すぎるぜ。
俺は奴らの集会所に潜入した。一見大人しい、いや大人しいのはそのまんまだが何かが欠けている。俺やヨハンとかいつも付き合いのある連中にはあるものがない。なんなんだ、空虚な戯れ言しかないこいつらの会話は。うっすらと異星人のような気配すら感じる。もしかして天使のように分かり合える存在なのかもしれない。が殲滅のオーダーがくるという事から実は悪魔みたいな奴なのかもしれない。結論、理解は不能。
奴らはしばらく仲間同士談笑してたが、ある時刻になったとたんいきなり静かになり中央の蝋燭を凝視し始めた。中には祈りのポーズをしてるやつもいる。そして奴らの瞳孔が開き始めた。しかも一斉にピッタリと。まるで無意識で繋がっているかのように。
俺はヨハンに撹乱しろ、とアイコンタクトを送った。俺のなかでこの儀式のヤバさを感じたからだ。
ヨハンは入り口にあるカーテンの先にライターの火を付けた。みるみる火は燃え上がり、近くにいた奴が悲鳴をあげた。が、しかしパニックにならない、刹那何事もなかったかのように中心への集中に専念した、なぜだ?
しかし、俺はそのときの奴らの頭にけったいなものが生えてることに気づいた。色はまるで、血の様な…そうだ真紅だ。
次第に奴らは動かなくなった、だんだん手足が植物のそれ、筋肉を失った管のバイパスのような枯れた茎へと変化して行った。次第に、その茎は白いものとなり俺やヨハンを襲わんとするとこだった。これは、根だ。
目に映った火の粉、俺は火のついた紙を咄嗟を奴らに投げ出した。ヨハンも俺に続き火の弾をどんどん奴らにぶつける…意外とあっけなく奴らは死んだ。
ちなみに後から聞いた話だと、「アジアの某国で人間統制のために作られたバイオチップが暴走し、脳のなかで植物化したチップに脳を侵され精神を破壊された結果、世界破滅を望むようになった連中による自爆テロ事件が世界的に起きて」いたとか。
脳に花の咲いた人間はすべからく特定の人間の奴隷になるらしいのだか、その「連中」が暴走しだした奴らを疎ましくなったから闇へ…
あー、つまんねぇ。俺は報告書をゴミ箱にぶち込んだ。




