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鍵士無双  作者: キャットフード安倍
第三部・ゲート探索(仮)編
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帰還

 「アレスじゃないか!アマテラスはどうなった?」


 「僕の精霊として使役した」


 囚われたアマテラスが銀の書の見開きの中で騒いでいる。


 「こ、こらー!日本の主神である我を使役するとは無礼なのじゃ!解放するのじゃ!」


 小アマテラスは何故かのじゃ口調になってしまっっていた。





 胸の傷は治療したがアマテラスが乗り移っていたサクラは目を覚まさなかった。


 幾度も問答してきた案件に答えを出さなければならない。


 二人のサクラが一つになったときどちらの意識が表層に現れるのだろうか。


 アマテラスの入っていたサクラが佐倉吹雪さくらふぶきの記憶を維持して目覚めれば何の問題もなかった。


 そうすれば佐倉吹雪と、これまでずっと一緒に過ごしてきたサクラは共存できたのだ。


 だがそうはならなかった。


 マコトにサクラを完全な人に戻してもらい、共にこの世界で暮らしていくのが俺の望みだ。


 だからこの横たわっているサクラを封印してこのまま眠っていてもらうこともできる。きっと誰も非難しないだろう。


 だが……





 アレスが小アマテラスを召喚した。


 どうやらアレスの命令には逆らえないようだが、慇懃無礼な態度は変わらないようでのじゃのじゃと騒いでいる。


 日本へ帰る算段はついた。


 しかしいまだ答えは出ない。


 「マスター、悩むことはありません。この身体を一つに戻しましょう。それが一番自然な選択です」


 「……」


 「私だってマスターと離れたくないので消えないように抵抗してみせます!それにマスターと同じように以前の記憶と今の記憶が共に残るかもしれないではありませんか」


 その選択しかないのはわかっていた。自分の願望を叶えるということは佐倉吹雪を殺すことと同義であるのだから。


 俺はただいじけていた意気地なしに過ぎない。


 「ヨシノ、やってくれ」


 『本当にいいの?』


 「ああ、俺のサクラが負けるわけがないからな」


 ヨシノは目覚めないサクラの元まで行きその胸にそっと手を添えて刀の姿になる。


 地下迷宮のときと同じように刀はサクラのなかに吸い込まれていった。


 頼む……


 サクラ……





 サクラが目を覚ます。


 「……ん、ここは……、あ!鈴ノ木くん!無事だったのね!」


 教国のゲートの向こうで俺が襲われた時のまま記憶は止まっているようだ。


 俺のサクラは消えてしまった。





 スサノオを捕獲したマコトとハクが戻ってきた。


 「黒田くん、鈴ノ木くんが日本へ帰る方法を見つけたんだよ!」


 マコトは無邪気に喜ぶ佐倉ちゃんと俺を交互に見ている。


 俺は目を逸らして口を開いた。


 「とりあえず日本へ行って「転移門」を使えるようにしてくるよ。アレスよろしく頼む」


 アレスはコアマに俺たちが召喚された直後の日本へつながるゲートを開けるように命じた。


 「コ、コアマ、我をコアマじゃと……」


 不本意に改名されてしまったコアマがぶー垂れながらゲートを開いた。


 「じゃー行ってくるよ」


 俺はそのゲートを潜り抜ける。





 さよならマスター


 何かが聞こえた気がした





 俺は聖域と呼ばれていた喫煙所に立っていた。


 今となっては遠い過去の記憶となってしまった景色が目の前に広がっている。


 建物の間に挟まれた薄暗い喫煙所を抜け出して校内をぶらつく。


 現実感の欠如したまま、まるで夢でも見ているかのような感覚で校舎をそぞろ歩くといつの間にか屋上の扉の前まで来ていた。


 鍵がかかっていたのでマスターキーを使って屋上に出ると同時に、あたかもその瞬間を見計らっていたかのように巨大な魔力の反応を頭上から感知した。


 見上げるが何もない。


 「魔力視」を発動させるとはるか上空に船のようなものが浮かんでいた。


 スキルで隠蔽しているため他の生徒たちは気づいていないだろう。


 呆然と見上げているとそこからヒト(・・)が下りてきた。


 そのヒト(・・)は俺の前まで飛んでくると優雅な仕草で一礼する。


 白いヒト(・・)が俺を見つめている。


 


 


 


 


 


 

これが最終話です。

なんともしまらない終わり方になってしまったと自覚しております。

主人公の設定と終わり方だけ決めて書き始めたのですが最後そこにもっていくことができませんでした。

このエンディングは当初想定していたものではないのでいつか機会があれば書き直してみたいと思っています。

それでは最後まで読んでくれてありがとうございました。


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