魔改造
『つまり転移門を使っても二ホン?とやらに行けないわけか……』
同じクラスだった堀井雄の手にある刀姿のオニが嘆息する。どうやら日本に行ってみたかったらしい。
「転移門」は一度行ったことのある場所ならどこにでも門を開くことができるスキルだ。
ただしスキルを身に着けてから行ったことのある場所限定である。当然日本への門を開くことはできないし帝国へも飛んで帰ってきた。
とんだがっかりスキルである。これでは劣化版ど〇でもドアでしかない。
「おい鈴ノ木!そろそろ終わりにしてくれ!腕が千切れる!」
『ホリイの天眼とかいうスキルなかなか使えるな!先読みできるからソージがどこから打ち込んでくるのかまるわかりだぜ!』
オニと軽く模擬戦をしているが刀に振り回されている堀井もそろそろ限界のようだ。
召喚された生徒たちはサクラに剣術の稽古をつけてもらっている。
日本へ帰る目途がつかない以上強くなるに越したことはないだろう。剣道部の彼らにとって部活の顧問であるサクラから指導を受けるのは自然なことなのかもしれない。
ちなみに卓球部の二人はサボりだ。どこかで卓球でもしているのだろう。
帝都ではこいつらの影響で空前の卓球ブームが巻き起こっていた。
マコトと合流してサクラ剣術道場から抜け出した。
四人で一服しながらオニの代わりに門へ向かったメからの連絡を待つ。
「鈴ノ木はスキルを付けたり外したりできるんだろ?俺にもそのタバコのやつ付けてよ」
「あ、それ俺にも頼むは」
【堀井雄】【大天使】
「鑑定」「天眼」「最後の審判」「生活魔法EX」
「最後の審判」因果律を操作し結果を改竄する
これはやってしまったかもしれない。
元スキル「ジャッジメント」をアンロックしたらヤバそうなスキルに変わってしまった。種族も大天使だし……
うん。見なかったことにしよう。
【黒田誠】【真人】
「強化」「進化」「限界突破」「生活魔法EX」
【真人】上級仙人
真人?仙人を飛び級して種族が変わっている……
「おお!初めて限界突破に成功したぜ!」
……。マコトは自ら仙人に「進化」して「限界突破」で真人になったのか……
こいつは元からチート野郎だったからな俺のせいではない。
堀井は楽しそうに大空を飛び回っている。
『ソージすまんが迎えに来てくれ。目玉になってしまった……』
前モントロー公のメから念話が届く。
どうやらあいつも失敗したようだ。




