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鍵士無双  作者: キャットフード安倍
第三部・ゲート探索(仮)編
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過去編①

 その日の放課後も学校非指定の喫煙所で鈴ノ木宗時(すずのきそうじ)と友人の黒田誠くろだまことは一服しながらだべっていた。


 ここは御煙草を御嗜みになる生徒(未成年者の喫煙は法律で禁じられています)ならば誰でも知っている穴場である。喫煙所は学年に関係なく使用することができ高校に入学して三か月も経つとすっかり常連になっていた。


 喫煙所にはDQNからメガネ君、学校のアイドル、不良教師など様々な人が集まる。教師までここを使用しているということは昨今の喫煙者への風当たりの強さが窺い知れるというものだ。


 もちろん聖地(喫煙所の隠語)で見聞きしたことは他言無用である。この掟を破ったという話を聞いたことはない。それは自分の首を絞めることになるのだから当然なのかもしれない。


 聖地は第二体育館の裏にある柔剣道場の凹窪みに存在し十人程度なら壁に寄り掛かれるほどの謎のスペースがある。ちなみに携帯灰皿は必須である。


 ※未成年者の喫煙は法律で禁止されています。





 帰宅部の俺たちは下校前にここでタバコを一本吸ってから帰るのが習慣になっている。


 普段は同じような連中が他にもいるのだがその日は誠と二人だけだった。


 「鈴ノ木君、黒田君、あなたちまたそんなものを!せめて校内ではやめておきなさい。わかりましたか?」


 気づくと背後には剣道部の顧問で俺たちの担任である佐倉吹雪さくらふぶきが腕を組んで仁王立ちしていた。


 「すいません!以後気を付けます!」


 ここは素直に謝る。サクラちゃんは優しいから許してくれるのだ。


 「はあ……、もう吸うなと言ってっも無駄なのでしょうね……」


 「ごめんって、サクラちゃん」


 「もう!佐倉先生と呼びなさい!」


 後ろで束ねた肩まである黒髪を揺らしながらぷりぷりしており怒った顔も可愛い。上下真っ白の道着がサクラちゃんの可愛さを一層際立たせている。


 「サクラちゃん俺たち帰るね、またあし……た……?」


 いきなり地面の一点が光りだした。


 その点から発せられる赤い光は幾何学模様を描きながら円状に広がってゆき体育館と柔剣道場を飲み込み部活中の生徒たちのざわめきが外まで洩れだしはじめる。


 「走って!ここから出ます!」


 惚けて赤い光に見入っていた俺たちにサクラちゃんが声を荒げた。


 指示通りに走り出したがまだ事の重大さに気付かずに「これ魔法陣じゃね?」などと雑談していると、


 「急げ!」


 と、大喝をくらわされたので全力疾走するといつの間にか完成していた魔法陣の外まで出ていた。


 第二体育館と柔剣道場は円の中にすっぽりと納まっている。


 他の生徒たちは逃げられただろうか。


 などと他人の心配をした刹那、俺の視界は暗転する。


 魔法陣が完成した時点で術式は発動していたのだった。





 つっと青々と生い茂った木々が目に飛び込んできた。


 俺たちはいつしか鬱蒼とした森のなかに佇んでいた。

 


 


 


 


 


 

未成年者の喫煙は法律で禁止されています。

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