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鍵士無双  作者: キャットフード安倍
第一部・ローゼン王国編
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ゴブリンの美少女

 おかしい。ウサギは倒せたがあまり強くなった気がしない。安物の短剣よりもリーチのある武器に変えて、倒すのが楽になった程度にしか感じられなかった。


 やはり騙されたのだろうか。だが鑑定で「剣豪」が付いているのは間違いない。


 ……。


 あーそういうことか。火石も魔力をとおさないと発火しないじゃないか。


 というわけで魔力を込めると頭の中に剣術に関する知識が流れ込んでくる。素振りをしてみるとまるで自分の身体ではないかのように刀を振るうことができた。


 次のウサギを探し出し刀を正眼に構える。相手もすでに臨戦態勢だ。


 ウサギは本能のままに突進してきた。ぎりぎりまで引き付ける。


 獲物が刀の射程距離に入った途端ウサギの首は斬り払われた。身体が無意識に反応した感じだ。


 「凄いな。これが武器スキルか……」


 これならゴブリンも余裕かもしれない。



 

 「魔力鑑定」でゴブリンを探す。これまでは出くわさないために、今は狩るために反応を探っている。武器スキルを得た途端これである。世の中不公平としかいいようがない。


 見つけた。今まで避けてきた相手だが恐れはない。身体も動く。


 不意打ちをせずにゴブリンの前に姿を晒す。


 「グギャ!?」


 相手も気付いたようだ。お互いじりじりと距離を詰める。


 ゴブリンは棍棒を上段から振り下ろしてきたが、半身になっただけでそれを躱し相手とすれ違い様そのまま首を刎ね飛ばした。


 まさかこんなにあっさりと倒せるとは。体捌きまで上達している気がする。


 「よっしゃー初勝利!!!」


 ゴブリンに勝った程度で飛び跳ねながら大喜びするなと言われそうだが、嬉しいものは嬉しいのだ。しょうがないじゃないか。




 その後、ゴブリンを狩りまくって、これまでは薬草を入れていた袋の中はゴブリンの討伐部位である鼻でいっぱいだ。


 もう帰ろうと思っていたが最後に一狩りすることにした。どうやら武技を覚えたようなのだ。使い方もなぜかわかっている。これは試さずにはいられないだろう。


 ゴブリンの魔力を探るとどうやら同じ場所に三体いるようだ。


 「くっ、俺だってPTなんて組んだことないのに!」


 相手に気付かれずに近づくことができたので、潅木の茂みから一気に飛び出すとそのまま武技を放った。


 「ダブルブレード!略してダブブレ!」


 これは一振りで同時に二つの斬撃を放てるという剣術の初歩の武技である。


 背後から二匹の首を同時に刎ね、魔術士タイプのゴブリンの心臓を突き絶命させた。首を刎ねなかったのはゴブリンの持っていた杖を傷つけないためだ。


 この杖からは持ち主のゴブリンよりも高い魔力を感じたのだ。


【ゴブリンの杖EX】【性別・女】【相性・100%】【回復魔法】【???】


 回復魔法!大当たりだ!


 サクラのときは二つ目の制限を解除できなかったが、この杖からはサクラほどの魔力は感じないので成功するかもしれない。


 「アンロック!」


 杖はサクラのときと同様に光りだしたがどうも様子がおかしい。杖が光の粒子となって消えてしまったのだ。


 光が収まったかと思ったらそこには少女が立っていた。十代中頃といったところだろうか……だがこの少女はゴブリンだ。人にしか見えないがゴブリンだ。


 ゴブリンは人間の子供程度の体躯しかなく緑色の肌をしている。少女は緑色の肌で額にはたんこぶ程の小さな角まで生えていた。ただ身長は人のそれである。


 一応刀は構えているがどうしても斬る気にはなれなかった。というのも、とんでもない美少女だったからだ。視線を下げるとたわわに実った立派なものをお持ちである。


 俺の視線に気付いた少女は自分が全裸であることを認識したようだ。


 「え?は、はだか?見ないでくださいー!」


 少女はそう叫び声をあげながら森の奥へと走り去ってしまった。


 「……」


 俺は呆然と見送ることしかできなかった。


 


 

 

 

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