ラミアの園
仲間を集めるにあたって以前思いついた狼っ娘量産計画を実行に移すことにしたのだが結局失敗に終わった。
グレイウルフをいくら狩っても「擬人化」付きの魂は手に入らなかったのだ。
「盗賊の隠れ処」へ行けば手っ取り早く仲間を増やすことはできる。だがあそこではローグ系のジョブに就いている者しかいないので戦力が偏ってしまう。なによりも野郎しかいない。
そこで考え付いたのが最初から女体の魔物を仲間にすることだ。
というわけでネイサンから北西にある「ラミアの園」へとやって来た。
連れてきたのはハコとマシューだけである。このダンジョンは光源がまったくないので生活魔法の「ライト」を使えるマシューを同行させたのだ。「ライト」はアレスも使えるのだがお婆の護衛としておいてきた。
ヘルマンは信用できない。盗賊ギルドの頭領である大公とつながりのある魔物使いの魂を俺が所持しているのを知っているのだ。俺とお婆を口封じしようとしてもなんら不思議ではない。
いざ突入しようかという段になって二人がごね始めた。
「マルボロ様!無理です!臭すぎます!」
「なんでわたしがマルボロの欲望を満たすためにこんな臭いところに入らないといけないの!」
そうここは臭いのだ。冒険者たちの間では別名「臭いとこ」である。臭いうえに真っ暗でジメジメしているので誰も近寄らない。
「いいから行くぞ!」
このダンジョンは一階層しかないかわりにとにかくだだっ広い迷路になっておりその最奥にボスが待ち構えている。
迷路といっても今は「魔力鑑定」をオンにしているので俺にとってはさほど障害にはならない。道中のラミアを倒しながら一人で奥へと向かう。
結局ハコは宝箱に戻りマシューは球体の姿のまま後ろに垂らしたフードの中で手だけ出して「ライト」を使っている。
『あんたよくこの臭いに耐えられるわね』
この娘たちが仲間になるなら我慢だってするさ。下半身は蛇だけどみんな可愛い。
半人半蛇だろうとそんなことは些細なことである。すでに馬車やゴブリンと関係をもっているのだ。下半身が蛇だからといって気後れするような俺ではない。きっとなんとかなる!
『性欲の塊みたいな男ね、このケダモノ!』
それが若さというものさ。
ボス部屋へたどり着くとそこには他の個体よりも一際大きく美しいラミアが待ち構えていた。
サクラを握り締めじりじりと近づく。
ラミアが伸縮自在の十本の爪で襲いかかってきた。
爪の波状攻撃を躱していく。躱しきれないものは斬るが斬ったそばから再生しているようだ。
それでもなんとか爪を掻い潜り刀の射程範囲にラミアを捕らえたが今度は尻尾でなぎ払ってきた。
空中を足場にしてなんとか躱したがラミアの攻撃は依然として続いている。
『さて、どうするか……』
『逃げちゃえば?』
『……いや、もう一度突っ込むぞ!』
同じ攻撃を何度も見せられさすがに目が慣れてきた。するすると爪の間をすり抜け接近していく。
「マシュー!今だ!」
フードの中から上半身だけ擬人化したマシューの放った矢がラミアの片目を貫いた。
「ぐぎゃああああ!!!」
ラミアの身体を駆け上がり残ったもう片方の目玉に刀を深々と突き刺しぐいっと捻る。
ラミアはしばらく身体を小刻みに震わせて動かなくなると大きな轟音とともに砂煙をあげて地面にひれ伏した。
あとには大きな魔石と首飾りが残されていた。
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