盗賊の隠れ処②
再び盗賊の隠れ処へとやってきた。
新たに駐屯兵団を退団してきた七名とリーナも一緒だ。これで元兵士組の全員がPTアンロッカーズに正式に加入することになった。ついでにリーナとモエも冒険者登録させPTに加えた。
アンデッド系の魔物は光属性魔法の「浄化」で触れることなく倒すことができる。今回はグールのいる階層も攻略するため嫌がるリーナも無理やり連れてきたのだ。
シンの配下は各地に散っているのでここにはいないが、それ以外の者たちは全員参加している。ちなみにお婆も俺の成長を見たいということで一緒に連れてきた。
クリスティーナ以外の元兵士組に武器を配る。彼女はさすがに貴族だけあって自前だ。
クリスティーナ「剣術」「盾術」「狂人化」・【盗賊の篭手EX】【剛腕】
ルート「剣術」「身体強化」「身体制御」・【盗賊の剣EX】【剛腕】・【盗賊の盾EX】【盾術】
アドミン「剣術」「敏捷強化」「縮地」・【アサシンサーベルEX】【身体強化】【身体制御】
スレッド「剣術」「火属性魔法」「並列思考」・【アサシンサーベルEX】【魔力強化】【魔力制御】
ギュンター「剣術」「占い」「測量」・【アサシンサーベルEX】【並列思考】【並列思考】
ゲオルグ「剣術」「錬金術」「水属性魔法」・【アサシンサーベルEX】【魔力強化】【魔力制御】
ブルーノ「盾術」「物理耐性」「魔法耐性」・【盗賊の剣EX】【剣術】・【盗賊の盾EX】【剛腕】
ここでドロップする武器には「盗賊」もしくは「アサシン」の名が冠されており、アンロックしたときに付加されるスキルも戦闘向きなものが多い。ゴブリンしか生息していない名も無きダンジョンとは大違いである。あそこで得たものはハコとパンツだけだ。
しかし今日ここへきたのは武器集めのためではない。
シンからローグ系のスキルをもつ部下の増員の要望があったためだ。最初にここで覚醒させた十名は諜報員としての素養があったらしく、さすが元「盗賊の隠れ処」の住人といったところだろうか。
再びここを訪れるのならついでにダンジョンを攻略してしまおうということで全員でやって来たのである。
前回の攻略階層である地下二十階の奥まで来たので一旦休憩を挟む。
「ここへは仲間を増やしに来たんじゃないのかい?道中アンデッドを倒していたようだが?」
「何言ってるんだよお婆?倒さないと魔石が手に入らないでしょ?」
「魔石はたしかに金にはなるが……、それだと仲間を増やせないじゃないか」
「売るわけないでしょ。アンデッドを倒してドロップした魔石を覚醒させるんだから」
話しがかみ合わない。お婆が何言ってるんだこいつ、みたいな顔をして俺を見ている。
「ここにいる連中は死者の成れの果てだよ?直接アンロックすれば覚醒させられるよ!」
ためしにリポップしたファントムシーフを直接「アンロック」してみる。
何も起こらない。装備を身に着けた黒い影は無反応だ。
「ロックとアンロックは無属性魔法だって昔教えたじゃないか!まったく魔力のコントロールが出来てないよ!今まで何をしていたんだい!」
魔力のコントロールって何?
「アレスはここに残って魔力制御のコツを教えてやりな!」
そう言い残しお婆たちは二十一階層へと降りていった。




