夢の中へ
グレッグの話しを聞いていた仲間たちからの要望もあり検証をかねてアレスを除いた元兵士組を封印した。
ネイサンへ戻るまで封印は解かない予定だ。二日経ったがみな良い夢を見ているだろうか。
辺境伯領を抜けオークの襲撃が収まったこともあり別の検証をすることにした。
「ハコ、あいつら出して」
相性の低いものを擬人化させる実験をしたときの短剣と俺が斬り殺した魔物使いの魂の球体だ。
魔力鑑定してみるとどちらも相性が上昇していた。これだけ高ければいきなり斬りつけてくることもないだろうということで強制的に覚醒させる。
「ん?あのときのあんちゃんじゃねーか」
「マ、マルボロ!?もう全部話したぞ!?」
魔物使いは俺を警戒しているが二人とも穏やかな顔をしている。話しをきいてみるとやはり夢をみていたようだ。
「俺は記憶は曖昧だがどうやら冒険者だったみてーだな。PTメンバーが全員俺の女でよー、昼間は魔物と戦って夜はベッドの上で女たちと格闘して、そりゃーもう毎日お祭り騒ぎよ!」
こいつ盗賊じゃなかったのか。しかもハーレムPTとは羨ましいやつだ。
「俺は自分の召喚獣たちと毎日モフモフしてたな。みんな最高のモフモフなんだ」
「召喚?お前魔物使いじゃないの?」
モフモフってなんだよ。
「魔物使いじゃねーよ!俺は自分の契約した魔物をエーテル体として呼び出すことができる召喚士だ」
「……、?」
すまん。何を言っているかわからない。
「僕が説明しようか。まず人であるマルボロは物質体で、君が視ることのできる霊魂が精神体だ。そして擬人化した僕らをエーテル体というんだよ。わかりやすく言うと半物質体ってとこかな」
「なるほど理解した。で、どうやって魔物を半物質体ってのにするんだ?」
「んなもん知らん。俺のスキル「友情の印」を使うだけだ」
「ぷっ!お前その悪人面で友情の印とか笑わせんなよ」
イケメンハーレム野郎が爆笑している。
「そういうスキル名なんだから仕方ないだろ!それに顔は関係ねー!」
二人とも根は悪人ではないようだ。
「これからお前らどうする?こっちに残るか封印されるか好きな方選んでいいよ」
「俺はあっちに帰るよ。ただ絶世の美女がいたら知らせろ!」
「俺の夢はフェンリルをモフモフすることだ。だからフェンリルを見つけるまではそっとしておいてくれ」
最後に魔物使いからゴブリンクイーン騒動の依頼主をきいて二人を再封印した。
魔物使い自身も依頼主に関してはよく知らないらしい。ただ隣国のシュミット商業連合の一国であるモントロー公国で依頼を受けたということだった。
ネイサンへ帰り着き元兵士組を覚醒させる。
みな幸せな時間を過ごせたそうだが求めていたものとは違ったようだ。話をきくとこいつらの望みは娼館で女の子と永遠にイチャイチャしたいとのことだった。
帰ってきてから今回の失敗の原因を議論していたようだが結論がでたようだ。
それは娼館にまだまだ通い足りないというものだった。
こいつらは馬鹿なのだろうか。
とりあえず検証は終わりということでいいだろう。
悪い夢を見ることはないとわかっただけで十分だ。
強制的に封印したときの罪悪感から解放されるのだから。




