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宇宙人の寿命

作者: 一日一説

宇宙人であるマサ雪の唯一の欠点は人より多く靴の底が減ってしまうことだ。

しかしマサ雪は直接靴を履いているわけではなく視覚的に靴を履いているように見せかけているだけなのでこれは半分正解で半分誤りといえる。

そもそもマサ雪と人間は似ても似つかない。

だから壁に映写するように360度偽りの姿でマサ雪は過ごしていた。

毎朝目を覚ますと前日と異なる恰好になるように自分をプログラムしていた。

そしてそれがマサ雪にとっても当たり前になっていたため彼は異常に気付けなかった。

四半世紀ほど地球で過ごした頃。

ある朝突然マサ雪は起き上がれなくなった。

原因にまったく思い当たる節がなかったマサ雪は数日にわたって寝たきりで考えあぐねた。

そして映像化を解除するという選択肢に思い当たった段でようやく事の重大さに気が付いた。

実際の体型がほとんど人間と変わらなかったマサ雪はその脚の半分以上を失っていることに驚いた。

足は完全に無くなり、太もも部分の付け根あたりまで脚は擦り減っていた。

地球での生活が長かったためかマサ雪自身映像化された姿を本物の自分とすっかり思い込んでしまっていたのだ。

岩に滴った水滴がいつか穴を開けるように、毎日気づかないレベルで擦り減っていったマサ雪の足は限界を迎えた。

こうしてマサ雪は余生を自室で過ごすことになった。

宇宙人の死因の半分はこうして餓死に至るケースばかりだ。

これはマサ雪にかぎった話ではない。

つまり決して珍しい話ではないのだ。

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