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魔女様は攻略しない  作者: mom
第3章 邪竜討伐

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66 邪竜は栽培する



「おーいお前ら飯だぞー。」


オレの朝はエサやりから始まる。


「食べろ食べろ、食べて大きくなれよ~。」


育てているのは主に虫型の魔物だが、そうでないのもいる。

これはただの趣味で、強い魔物が出来たら強いヤツ同士で闘わせてみたり、普通に戯れて遊んだりする。大きくなると勝手に山のあちこちに散らばって、それぞれ生きていくケースがほとんどだ。


集まってきた魔物たちに餌をやって、その後は農場だ。

ここは瘴気山脈、漏れ出す瘴気により魔物が自然発生する為、人間は誰も近寄らない不毛の地。…なーんて言われているが瘴気はオレの魔力だし、普通に植物も生える。

というか魔力の影響か知らんが、種を蒔いてみたら厳しい気候でも育つ生命力の強いやつが生えた。

いろいろ植えてみたが、一番適応したのはこのトマト。多く収穫出来た時は人間相手に売り付けて、収入源にもなる。


「ふんふ~ん♪」


鼻唄を歌いながら土をいじる。

手に付いた土をブレスで軽く吹き飛ばして、綺麗にしたら朝の日課は終了だ。

トマトを齧りながら農場を後にする。


「ギシャシャシャ」


金属のような硬質な鳴き声で魔物が寄ってきた。甘えているようだ。


「おー、よしよし。」


撫でながら先日のことを思い出す。

王国最強と謳われている騎士団長、ついでに騎士団とも一戦交えようという思いつきだったが、思わぬ収穫があった。

やたら魔法適性が高い人間の女。あんなに魔石と相性の良い人間は初めて見た。

オレの身体を易々と貫くあの威力、それを連発出来る魔力変換量。

あいつなら絶対強い子供ができるだろうな。


あんなのもうこの先見つからないだろうから、戦闘中に持って帰ろうとしたが失敗した。

本人は普通に捕まえられそうなのだが、下のオオカミがかなりすばしっこい。

脱皮後も運良く遭遇出来たが、オマケの二匹が邪魔で拐ってくることは出来なかった。


連れて帰ろうと思ってたんだけどなー。

ま、いいか。まだまだ人生長いし。


にしても、オレが邪竜と言った時のあの顔。

あいつの驚いたような困ったような、訳の分からないものを見るような顔が浮かぶ。


「……っくく、うはは。」


また驚かしてやろう。


それから、指を喰わそうとした時のすげー嫌そうな顔。


「へへへ、失礼なやつ。」


「……ギシャ?」


撫でていた魔物が不思議そうに首を傾げる。

オレの一人百面相を見られたな。不覚。


「あいつ虫が嫌いみたいだからな、お前はちょっと嫌がられるかもな。」


話している最中、魔物でもない小さい虫に過剰反応していた。確かあのヘンな男が追い払っていたな。


「ギギ………」


「落ち込むなって。お前愛嬌あるから意外といけるかもしらんし。」


そう言って魔物を慰めると、小さい口をモゴモゴ動かしていた。たくさんある節足の一つに、小さな白い花を携えている。


「ふむふむ、花か。見た目に反してあざといやつだな。」


「ギシャー!」


鳴きながら、得意げに花を集める。

そうだな、花は植えたことがなかった。こっちも突然変異で変わったのが育つかもしれない。それも面白そうだ。

オレの扱いがちょっと雑なオレの花嫁は、悪そうなくせに花がよく似合う。


「あっ、名前聞いてない。」


オレは名乗ったのに、あいつら誰も教えてくれなかったな………。

不審者扱いされていた気もする。

仕方ない、今度遊びに行った時にでも聞くか~。




バトルジャンキーだらけの第3章、これにて終了。

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ありがとうございます。


次章は魔物だらけの第3章と打って変わって、お人形がたくさん出てくるお話です。


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