真面目な死神 新熊 創
第壱話
平日の朝の新宿駅は
沢山の人で溢れ返っていた。
今日は7時50分に発生した
人身事故の影響で
いつもより更に人が多く
ごった返していた。
荒熊 創
は、フーっとため息を吐き
事故現場を後にした。
左手には鞄を下げていた
空いている右手でネクタイを緩めた。
午前8時2分。
荒熊創の今週の仕事は終了した。
午後18時。
創は同僚の森田と、森田の家で芋焼酎を飲んでいた。
ツマミなどは特にない。
2人にツマミは必要ないからだ。
「今日も無事に仕事は終わらせたんだろ?」
森田がグラスに入った芋焼酎を少し飲み創に尋ねた
「うん。まぁ」
いつものように創は浮かない返事をした
「いいじゃねーかよ!無事に仕事をしたんだから。
お前は優秀じゃないか」
森田は豪快に創の肩を叩きながら言った。
「僕達のやってる事ってなんか意味があるのかな?」
創の質問に森田は右眉を上げてから答えた。
「意味?、、、
う~ん。考えた事ないな」
少し考えた後に森田は続けた
「無いんじゃねーか!」
そう、言った後に森田はいつものように豪快に笑っていた。
「今朝のオジさんが死んだ事で何か変わるのかな?」
森田はまた右眉を上げた。
「ん?わかんねー!」
グラスを回しカランと氷が音を出した。
それから森田は続けた
「でもよー!これが俺達の使命なんだから、上から言われた通りやってりゃいいんじゃね?」
と、上と言いながらも、森田の人差し指は下を指していた。
「普通のオジさんに見えたけどなぁ。」
創はガクリと顔を落とした。
一つ大きなため息をつき
森田は話した。
「ほら!俺たちのスローガンにあるだろ?
(悪くない人間は皆無)
ってよ!
なっ!だから気にすんなよ」
「悪くない人間は皆無」
そうだ、僕達は小さな時から
そう教わり育ってきたのだ
沢山の動物を私利私欲の為に殺し、土地も全て独占している
最低な生き物が人間なんだと。
創はグラスに残った半分の芋焼酎を一気に飲みほした
「ぷはーっ!よし、今週のノルマは達成したんだ
森田くん呑もう。」




