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ほうき星  作者: 金烏玉兎
Chapter1 DAYBREAK
6/12

No.5 デブリーフィング

長い間休止していて申し訳ありません。

これからはしっかり投稿できると思います。

 眩しいほどの純白の部屋と調度。つまりは病院でフィラルは目を覚ました。覚醒したことを告げていると思われる穏やかなブザーが鳴り響く。この国が迫害される者達にこれほどの設備を提供しているのは疑問だが、戦場ではそんなことを言っていられない。疑問に思っているものはいないようだった。

 「ようやく目を覚ましたか。」

 同じ病室にいたフールが声をかける。腕の骨が折れているようで、フールの右腕はギプスで固定されていた。

 「目を覚ましましたか、隊長!なかなか目を覚まさないのでこのまま死んじゃうかと思いましたよ!」

 「お前が目覚めたのと大して差はないだろ。そこまで近くじゃなかったのにどうしてそんなに遅いんだよ。」

 やや暑苦しいイグヌとそれに冷淡に返すキト。第769部隊が2個小隊に別れる時、フィラル達とは違う小隊を率いる二人だ。全体的に若年化してきている軍の中でも若い方に入る彼らだが、その腕は確かである。

 と、その時スピーカーから声が降った。

 「全員目覚めましたか?今回の基地防衛の結果をお教えしておきます。」

 基地の参謀である。真面目に仕事しているのが少ない内地の人間の中でもっともまともな人間である。名は確かラキと言ったか。

 「死者は2人です。基地を守っていた隊から出ました。遠距離型を倒す前に狙撃されたようです。」

 精鋭が揃うこの重要拠点にて死者が出るのは久しぶりである。大型の存在が与えた動揺は大きかったようだ。

 「重傷者は5人です。謎のレーザーに吹き飛ばされたあなた方と、基地の方で腕を斬られたのが1人。」

 「その謎のレーザーってのは一体なんなんだ?突然空から降ってきたのはなぜだ?」

 我慢できなかったのかフールが問う。

 「調査結果によると、人工衛星からの砲撃です。大型のレーザーで座標を特定し、そこに撃ち込んだものと思われます。」

 人工衛星からの砲撃。

 それはとてつもない衝撃であった。お伽話のようなドラゴンがいるだけでも十分に荒唐無稽な話だというのに、人工衛星となるともう人が太刀打ちできる相手ではない。

 「なんで基地に撃たなかったのですか?もう人も少なかったあそこに撃って、死者もいなかったんですよ。」

 イグヌが未だに信じられぬという顔で問う。対するラキはなんども反芻していたのだろう、あくまで冷静だ。

 「基地内部の情報が惜しかったものと思われます。また、人工衛星もあくまで試験運用の段階であることが予想されます。あまりリスクのある運用は避けたいところなのでしょう。」

 「対抗措置はどうするのですか?宇宙空間まで銃弾は届きません。」

 さすが歴戦の猛者と言うべきか、フィラルはすでに落ち着いていた。

 「対抗措置はミサイルで撃ち落とす、電磁波で撹乱するくらいだと思われます。まだあまり対策が進んでいないのが現状です。しかし、チャージには時間がかかるものと予想されていますからその間に内地の方で様々な対抗措置がおこなわれるでしょう。」

 内地の約束など信用できたものではないが、外地は何もできないのだから信用するしかない。しかし、内地の約束が信用ならないのはラキが一番知っているようであった。

 「今までの通り計画が妨害される可能性の方が大きいですが、これはかなり重要な案件です。精一杯努力はします。『BAI』側の技術力がここまで上がっているとは誰も予測しえなかったことです。今後の構成も激化するものと思われますが、どうか生き延びてください。」

 それでスピーカーから降る音は途絶えた。

 「生き延びてくださいって無責任だよね。人間とロボットで対等に戦えてんのがすでに奇跡じゃん。」

 「言ってやるな。参謀が戦場を経験することなんてないんだ。箱入り娘ではあるが、常識人ではあるんだから内地の人間の中ではトップクラスに優秀だろう。」

 不満げに漏らすキトをフールがなだめる。

 「しかし、しばらくはこの病室に缶詰だろう?最前線がどうなっているのか気が気じゃないな。」

 「そうですね。第768部隊は全滅したようですし、第769部隊は半減です。かなり辛い戦いを強いられるんじゃないでしょうか。」

 フィラルのつぶやきにイグヌが答える。すでに深夜なのだが、窓のない部屋では時間はわからない。彼らの話は朝まで続き、平和な怪我人生活が送られているようであった。

 

長い間休んでいると脳内に分岐が幾つでもできますね。

それらの中から一つを選ぶのが大変でした。

感想等でのご指摘は常に受け付けております。モチベーションにもなりますので、書いていただければ幸いです。

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