No.4 刹那の笑み
かなり間が空いてしまいました。申し訳ないです。
どれ程経っただろうか。恐ろしいほどの速度で振り抜かれる大型の爪。大地を容易く抉り取るそのアギト。それを前にして二人は防戦一方であった。
周囲の万能型はすでに半分以下にまで減り、一部の隊員はすでに基地への応援へ向かっている。圧倒的な攻撃力を持つ近距離型と、こちらの情報を容易く丸裸にしてくれる斥候型の組み合わせは非常にタチが悪い。3つの部隊でかかっても少しづつ削るのが精一杯だろう。だが、挟撃できれば即座に殲滅するのも不可能ではない。
「フィラル、残弾はどのくらいだ。」
「俺は大丈夫だ。牽制射撃で量を使うお前の方が危険な状況だろう。」
戦況は対大型以外では人間側に有利である。しかし、大型を削り切らなければ逆転の可能性がいくらでもある。なぜかあの威嚇以来使ってこない砲撃を喰らえば、基地が半分は削り取れるだろう。
「エネルギー枯渇で帰ってくれりゃ、ダメージにもならん弾薬を使った甲斐があるもんだが。」
「相手が大きくエネルギーを使うのは、砲撃だけだろうな。それに隙も大きい。それがこちらの唯一のチャンスになる。」
「なるほど。内部破壊だろうと、装甲の薄いところを探そうと、こちらが自由に動き回れるな。」
今のところその策がベターだろうし、そもそもそれ以外の策がない。
しかしフィラルはそれでも一抹の不安を覚えているようだった。しかし、死神は待ってくれない。そんなものは激戦のうちに消えて行く。
そして、その時は来る。
大型がその口を大きく開く。その隙を見逃さずフィラルが攻撃に走る。しかし、大型は見向きもしない。
そして、上を向く。
「ーまずい。」
戦場に生きてきた彼らだけが持ち合わせる能力。古くは戦士の勘と言われるそれが全力で警鐘を鳴らす。
「全員退避しろ!俺たちはすでに『BAI』の術中だ!」
数体残っていた万能型が逃げる隊員を追撃しようとするのをフィラルとフールが阻止する。疾駆する彼らの後ろで大型が宙にレーザーを放つ。
その数瞬後。それに呼応するように宙から降るレーザーが、大型を焼き尽くし周囲の隊員を吹き飛ばす。
戦闘機械にしかできない狂気の自己犠牲。そんな中、大型は確かに嗤っていた。作った人工知能に攻撃される国を。一部の民を犠牲にして生きる人々を。犠牲者をなおも焼き尽くさんとす人工知能を。
人にも機械にも自由など与えられない。あるのはただ犠牲と欺瞞であった。
またもや圧倒的急展開なのは治りませんね。細かい描写とかできる気がしないです。
感想等でアドバイスをいただけると嬉しいです。暇でしたらよろしくお願いします。