No.3 お伽話の戦場
漠然としたイメージしかないので、間が空いちゃいますね。
ミリタリーの知識をあんまり持たない人が付け焼き刃で書いたんですが、大丈夫ですかね。
信じられないのも無理はないだろう。血と鋼の支配する見渡す限りの荒野である外地において、恵まれた内地のお子様が読む本に出てくるような荒唐無稽な存在はありえない。しかしそれは翼が生え、今にも火を噴きそうな姿形をしているロボットなのである。
「あんなのは絵本で騎士だの、魔法使いだのと戦っているもんじゃないの‥。」
ハーベが信じられないように呻く。赤茶けた大地と星の見えない夜空。それはドラゴンの存在を一層非現実的にする。誰もが頰をつねりたくなるような状況の中、2人は冷静だった。
「かつての国がこんな兵器作るはずがねえぞ‥。」
「ああ。つまりは奴らが兵器を作る術を手に入れたということだ。」
「大型も作れるってこたぁ、小型なんか無限に湧くな。」
「世界最高の人工知能様だ。遅いくらいだろう。」
そう言いながらフールとフィラルは得物を構える。すでに大した遮蔽物もない場所にいるのだ。すぐに交戦は始まる。
「作戦はほぼ変えない。ただし、大型を殺りに行くのは俺とフールだけだ。残りはすぐに万能型を始末しろ。そして、基地で受けている敵を挟み撃ちだ。」
「でもそれじゃ二人が‥。」
「あまり多くの人数を割くわけにはいかない。パターンの読めない相手だ。少数精鋭の方が指示が通りやすくなるから、適応しやすい。」
部隊員から出る異論をフィラルは即座に潰す。
「さぁて、敵さんのお出ましだ。」
フールが自動小銃の弾をバラまく。それを合図に、2つの分隊が散開。万能型を蜂の巣にせんとばかりに弾丸が吹き荒れる。補給が得難い状況での制圧射撃は上策ではないが、こうして威嚇でもしなければ大型には近寄らせてもらえないだろう。
弾丸の壁をかいくぐり、フィラルが大型に肉薄したその時であった。大型が異常なまでの火力を持つレーザーを発射した。
「ーっ。」
幸いにも威嚇砲撃だったようで何もない方向に向けて放たれたが、大地がごっそりと削り取られたその様は大型の力を否応無く認識させる。
「なんで、こんなアホみたいなのを作れるんだよ‥」
誰かの声が無線に入る。誰の声かを認識する余裕は彼らに残っていなかった。しかし、止まってはいられない。機械らしい感情のなさで、的確な狙いでレーザーを放つ万能型。先ほどの砲撃とは比較にならない威力だが、それでも人を殺すには十分である。
「死ねずに生き残って、無駄に戦闘経験を積んでいてもこんな驚くのは初めてだな。」
フールが大型の翼に向かって自動小銃を発射する。移動手段を奪うつもりだろう。的が馬鹿でかいためかフルオートで連射する。
同時にフィラルも動き出す。驚くほど軽い身のこなしで移動し、地面から7,8mはあるであろう大型の頭に3点バーストを撃ち込む。かなりの要素を威力に傾けた近距離戦用のカービンは、拳銃弾すら効果の薄い近距離型の装甲も容易く貫通する威力がある。しかし、
「効かないか。」
中距離から硬い装甲を貫通するためのフールの7.62mm弾も、至近距離から柔らかい部位に大ダメージを与えるフィラルの5.56mm弾も効果が薄い。これ以上の威力を与えるには狙撃銃ぐらいであるが、遮蔽物の少ないこんな場所で運用することはできないし、そもそも持ってきていない。万能型の処理も進んでいないが、これ以上戦力をどちらかに振るともう一方を処理するのに弾薬が足りなくなる。斥候型と近距離型がいる時点で、すでに辛い戦いとなっているであろう基地からの援軍は期待できない。
「割と絶体絶命じゃねぇか。」
「今まで何度も絶体絶命の死地から帰還してきたんだ。今回も死んだりはしない。」
それでも彼らは諦めない。帰るべき故郷のない彼らが戦う理由は、生き延びるため。その先に何かがあると絶望に塗れた頭は未だに主張する。戦場にあっても消えぬこの言葉に彼らは従う。
「さて、こいつをどう料理しようか。」
フィラルの浮かべる獰猛な笑みにロボットのドラゴンはあくまで無表情であった。
自分の脳内でできてる世界を綺麗に表現できる文章力が欲しいものです。
未だ課題の多い私ですが、その課題もあまり見つけることができません。
自分で発見するべきなのでしょうが、それでは追いつきません。
暇であれば、感想等で気づいたことを送ってください。お願いします。
‥ということを毎回書いてるような気がする今日この頃