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『頼って』
次から次へと悪魔たちが溢れ出てくる。
「早く門を閉じなければ……ぐっ!」
足から力が抜け、膝をついてしまう。
「笑わせてくれる。門に辿り着いたところで、今の俺には閉めることができないと来た」
ルシファーとの戦闘で気力も魔力もほとんどを使いきり、意識を保っているのを褒めらたいくらいだ。
「俺なら動けるはずだ。俺は魔王レグルス・デーモンロード。己が思うがままにできないなど――」
スッと眼前に出された手のひらが言葉を遮った。
見覚えのある美しい銀の髪。焦る心を落ち着かせる音色の鈴。
自分より小さな背中がこんなにも頼りがいがあるのは悔しさを感じるべきだろうか。