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『失意』
ようやく掴めると思った矢先、彼が求めたものは砂の如く指の隙間から流れ落ちる。
まるで初めからこうなるのだと決められていたかのように。
「そうまでして私を排除したいか……争いを求むか。……ああ、良いだろう。望み通り私が貴様らの敵になろう」
ルシファーの白き翼は、殺した者たちの数だけ赤に染められていった。
ちらりと染まっていく翼を見るも、もはや気にはならなかった。
これが自分の行いの証になるのだと考えたからだ。
1度目は問答無用で否定した。
2度目はもしかしたらと信じようとしたが……。
3度目は――ない。
殲滅あるのみ。
神の創造せし〈人間族〉を滅ぼし、あわよくば他の種族も巻き込んで反逆とする。




