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『プライド』
「魔神……。英雄によって倒されたのではなかったのか?」
右腕を代償に得た勝利への報酬は、にわかには信じ難い話だった。
回復魔法が効きにくいのは周囲に蔓延する瘴気のせいだ。
普通の人間ならもう死んでいるか気絶している濃度でも、俺は何ら不自由なく動けている。
回復魔法が効きにくい以外はだ。
いずれ適応するのだろうがまだ時間が必要らしい。
「貴様らでは魔神には勝てん」
〈英雄〉でなければ〈魔神〉は倒せないと言いたいのか。
そもそもだ。
お伽噺の中だけの存在だった〈魔神〉が、実際にいた奴だとはっきり言われたことの方が衝撃だ。




