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最後の魔王伝説  作者: 入山 瑠衣
第十章 冥界よりの侵略者
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『寄り添う』

 ルシファーから〈冥界〉や〈悪魔〉の話を聞けた。

 有力な情報を得られたと断言できるくらいだ。


 ……しかしだ。

 知ったから手放しで喜べる状況とは程遠い。

 でなければ、こうして頭を抱えて自室を目指し、とぼとぼと歩いていないとも。


「――おかえりなさいませ。ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……ワ・タ・シ?」

「……すまない、部屋を間違えたようだ」


 扉を開けるや否や、変な奴(ユイナ)が変なことを訊いてきたので、つい反射で閉めてしまった。


 念のため、ここが本当に自室なのかを周りを確認する。


 いくら考え事をしており、この城が広いとはいえ、自分の部屋を間違えるほど落ちぶれた覚えはない。


「うむ、あっているな」


 周囲の壁には扉はなく、あるのは俺の部屋のひとつのみ。

 確認するまでもなかったが……まぁ、気分の問題だ。


 ため息をついてからドアノブに手をかけて回す。と見せかけて、通路の角から魔力操作で扉を開けた。


 俺なりのお返しのつもりだった。

 驚くか慌てるか、どちらにせよ気分転換にでもなれば良いと思った次第だ。


「…………」

「…………ん?」


 何の反応もないので、俺が首を傾げた丁度その時、開いた扉からユイナがひょこっと顔を出す。


 探すように周囲を見渡すのでもなく、隅から覗き込む俺に迷わずに微笑みを見せた。最初から企みなんてお見通しですよと言わんばかりの笑顔だった。


 ……結果は俺が両手を上げて敗北を宣言。

 あいつ(・・・)ならまんまと引っ掛かっただろうに、相手が悪かったな。


「バレバレだったか」

「はい、バレバレです」


 観念して部屋に入ると、パンとスープが机の上に置かれていた。


 集中しすぎてわからなかったが、美味しそうな良い香りが漂ってきた。


「あれは?」

「時間も時間なので、軽めのを用意しました。頭を働かせるには、まずはお食事です。今日、ほとんど何も食べていないの知っているんですから」


 顔の横で人差し指を立て、本人ですら忘れていた事実を指摘する。


「……ありがとう」


 良く見てくれている、と苦笑してしまう。


 すると、突然頬を膨らませるユイナ。


 不快に思われてしまったのなら悪いな。

 謝罪しようと口を開こうとするも、ユイナに先を越される。


「それと、乙女の前で他の女の子のことを考えるのは、よくありませんよ」


 見透かされてる……。


 苦笑いで固まった。

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