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『称賛と叱咤』
説得の代償に大怪我したリュウヤが眠る一室。
幸い、カグラの治癒魔法によって大事には至らなかった。が、魔法で傷は回復できても体力まではどうしようもないため、こうして目覚めるのを待っているのだ。
今日で3日目。
様子を見に部屋を訪れた頃には、空には星が輝いていた。
「無茶をして心配かけるのは程ほどにしておけよ」
ベッドで横たわる、未だに目覚める気配のないリュウヤを見下ろす。
視線を横にずらせば、看病に疲れて静かな寝息を立てるカグラがいる。
「――暗殺でもしに来たか?」
扉の方から声が聞こえた。
ふたりを起こさないように抑え気味にだ。
「こいつらは俺の仲間だ。殺す必要はない」
「それを聞いて安心した」
振り返ると、そこには腕を組んで壁に背中を預ける国王となったギルシアの姿があった。