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最後の魔王伝説  作者: 入山 瑠衣
第十章 冥界よりの侵略者
235/285

『生態系』

 ――断末魔。


 生き物が死ぬ際、または死ぬ直前に上げる声を人はそう呼ぶ。


 ただの死……とは少し違う。

 断末魔を上げるのは――


「グギャアアアア!!」


 殺される(・・・・)時だ。


 竜の成底ないとも称される〈ワイバーン〉を魔法で撃ち落としながら思う。


 人から見れば異形の存在の魔物だって、生き物という大きなくくりでは同じなのにどうしてここまで嫌われるのか。


 視線を落とせば、俺を敵として認識した魔物たちが襲いかかろうとしていた。


「ゴブリンか」


 飛んできた弓矢を掴み、先端に毒が塗ってあるのを見て予想を口にする。


 小さな村や旅の行商人を襲って拐い、男性は労働力にもせずに邪魔だと殺し、反して女性は母体として利用する。


 〈人間族〉が被害を受けている魔物の中で頂点を譲らない。


 それぞれ一個体の強さは何処吹く風だが、数の多さと持ち前の姑息さで冒険者すら手を焼くとギルドの受付の女の子が言っていたな。


 ここで俺は疑問に思った。


 そんな厄介な連中をどうして全滅させないのか、と。


 これにはグリムが答えてくれた。

 ――我々魔族が本能の上で人間族を必要とするのと同様に、世界に住まう魔物を含めた生物の生態系には彼らの存在は不可欠なのです。


「痛って! この野郎、よくもやりやがったな!」

「毒矢を受けてもあの元気。どんな身体構造をしているのやら」


 左腕に刺さった毒が塗られているはずの矢を抜き去り、敵へと突進していくリュウヤを見て苦笑する。


 森は奴らのテリトリーだと言ったのに、人の話を聞かずに突っ切ろうとするのだから相変わらずだ。


「正面はリュウヤに任せる。カグラは周辺警戒しつつ、引き続き森から出てきた奴らの対処をしてくれ」

「わかった。あの馬鹿をお願い」

「もちろんだ。仲間を死なせるつもりはないとも」


 声だけでもやれやれと頭を抱えているのが伝わってくる。

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