僕は輝いてる?
鳥が羽ばたくようなマーク。
その大型スーパーの家電売り場で、僕はアルバイトをしている。
郊外型の家電量販店の猛攻もあるので、この売り場は今もなんとか存続している状態。
だけど、僕はこの職場が好きだ。
自分の部屋はろくにやらないのに、家電の掃除をするのは好きだ。
家電ってやつは放っておくと、どれも地味に、思ってるより早く、汚れていく。
テレビはいつの間にか埃をかぶり、シェーバーの試供品は髭が溜まる。
気がついたら部品が折れてるなんてこともあるので掃除がてら、チェックもしている。
一つ終えると、少しさっぱりする。
そして少し面倒なのは、照明器具の掃除だ。
普通は目線に合わせた商品陳列が基本。
だけど照明はその明るさが売りなので、天井につるしてあるからだ。
お客さんが少ない時、ハシゴを使って掃除する。
最近はLED照明が増えてきている。
だからといって埃が減るわけじゃない。
まだまだ、小型照明は電球も少なくない。
そして白熱球は熱い。
「あっつ・・・」
そういいながら掃除する。
クリーナを使って拭き取るのだけど、布には地味に埃がつく。
「この前やったばかりなのになぁ」
そう思いながら一つ一つ続ける。
電球、傘の裏表。
電球、傘の裏表。
隣の雑貨売り場には、ショートヘアーの女の子がアルバイトをしている。
ハシゴから見れば、レジを打つ姿が見えた。
でもその子とは、閉店時や食堂なんかでたまに話すくらい。
その子が今、僕の前の廊下を歩いていた。
僕を見て、しばらく間があって。
「君、輝いてるね」
そういって僕の前を歩き去っていった。
「あ、あ〜、うん」
うまい。
一本取られた。
うまく言い返せなかった僕は三本ほど取られた気分。
でも、君の笑顔の方が輝いている。
半分実話です。
甘じょっぺえ思い出。
一応書きますが、輝いてるね、は
どっちにも取れるかも、ですよ。