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2.モガ村にて

前回のあらすじ


洞窟の中で目が覚めた主人公は自身がだれなのかわからない状態だった。

ひとまず洞窟から外へ出た主人公はここがどこなのかもわからない状態で彷徨う。

その道中、主人公は穴に落ちた少女、「リッカ・ストラウト」と出会う。

ひとまず自身を「ココ・ノエリオ」と名乗り、リッカの案内によりモガ村へ向かうこととなった。

「まったく……あんたって子は!」

「いたたたた! ご、ごめんなさい!」


木製の5mほどの門で囲まれたモガ村、そこで営まれている宿屋[ストラウト亭]の一階で僕は、母親であろう女性にお仕置きされているリッカさんを眺めていた。


【ヒューマン:クレア・ストラウト】


お仕置きを終え、一息ついた母親らしき女性、クレアさんは、僕の方を見て、頭を下げながらお礼を言ってくる。


「娘が迷惑をかけたねぇ」

「いえ、気にしないでください。僕としても道に迷っていたので道案内をしてもらって助かりました」

「……礼儀正しいねぇ。どこかのお偉いさんの息子か何かかい?」

「……ええっと」

「お母さん、ココさんはね?」


どう返したものかと考えていれば、代わりにリッカさんが説明してくれる。内容は僕が彼女に伝えたことそのまま。僕が記憶喪失であることだ。

その話を聞き終わり、クレアさんは僕の方を見て言ってくる。


「記憶喪失……ねぇ? あんた大丈夫なのかい?」

「どちらかというと……大丈夫ではないですね」

「お母さん、ココさんお金も持ってないんだって」

「……そりゃぁ……大変だねぇ」


僕の持ち物は今着ているものだけだ。お金など持っているわけがない。

それを聞き、クレアさんがしばらく考え込んだ後、こう言ってくる。


「そうだねぇ……あんた、ココだっけ? ここでしばらく働くかい? 多少の給金と1日3食と寝床を付けるよ」

「え、いいんですか?」

「いまちょっと訳ありでお客さんが多いんでね、人出はほしいんだ」

「さっすがお母さん!」

「ちょうど一人使い物にならなくなったやつがいるしね」

「うっ……ごめんなさい」


クレアさんを褒めたたえていたリッカさんが、クレアさんににらまれ委縮する。

まぁたしかに、足を怪我した彼女では行動にいろいろと支障が出てくるであろう。


「で? どうする?」


クレアさんが再び僕の方を向き、そう言ってくる。

僕としては答えは決まっている。これからどうするかすら考えてない状態でこの誘いは渡りに船だ。拒否する理由がない。


「よろしくお願いします」

「ん、よろしく頼むよ。それじゃさっそく皿洗いからしてもらおうかい」

「あ、はいわかりましーー」

「ーーそれが終わったら野菜の下処理その後に水汲みと火おこしあとは……まぁ手が空いたら教えておくれ。詳しいやり方はリッカに教えてもらいな」

「えっ……」

「あはは……頑張ろうねココさん」


こうして、僕はストラウト亭でしばらくこき使われる……もとい働くこととなった。



「ーーよし、これで今日の仕事はひと段落だよ。お疲れさん」

「や、やっと終わった……」

「お疲れ様」


もう日も落ちて暗くなった頃、やっと僕は仕事から解放された。

皿洗いに始まり、井戸で水を汲んでここまで運んだり、人力(摩擦)で火をおこしたりなど……なかなかの重労働だった。


「それじゃもうすぐあの人が帰ってくるから、晩御飯の準備をしようか」


そういってクレアさんは厨房の方へと向かっていった。……あの人?


「あの人って?」

「お父さんのこと、もうすぐ仕事から帰ってくるんだ」


リッカさんに尋ねるとそう教えてくれる。

それと同時に、入り口の方から一人の中年男性がやってきた。


「ただいまー」

「あ、お父さんお帰り」


【ヒューマン:アルド・ストラウト】


リッカさんの対応と文字の内容から、彼がここの主人なのだろう。


「ん、あんたは?」

「どうも。今日からしばらくここで働かせていただく、ココ・ノエリオといいます。よろしくお願いします」

「あ、あぁ……オレはアルドだ。よろしく」


ちょうど挨拶が終わったころ、クレアさんがご飯の準備ができたことを伝えにきて、そのまま食事をすることになった。

食事の場の話の種として、僕のことがアルドさんに説明された。


「記憶喪失……ねぇ。そりゃ大変なことで」

「えぇ……正直大変です。リッカさんにあえて幸運でした」

「それはよかったが……お前これからどうするんだ?」

「どうする……とは?」


アルドさんの問いかけに僕は首をかしげる。そしてアルドさんは続ける。


「しばらくここで働くとは言ってたが……ずっとここにいるわけじゃないだろ?」

「あぁ……そういうことですか」


確かにこのままでは根本的な解決には至ってない。そのことに思い至ると同時にアルドさんが再び訪ねてくる。


「それで、どうする気なんだ?」

「そうですねぇ……お金がたまったらどこか多くの人が集まる場所に行こうとは考えています」

「このあたりでそんな場所と言ったら……自由都市【ナザック】か」

「自由都市……ですか?」

「ん? あぁ……自由都市ってのは傭兵が作った街でな……まぁそこらへんはおいおい知っていけばいいか。とりあえずそのナザックがここから一番近い人が集まるところだな」

「なるほど……」

「といってもしばらくは行けないだろうがな」

「え?」


アルドさんの発言に、僕はまた疑問符を浮かべた。しばらくは無理? どういうことだ?


「ここからナザックに行くには途中峠道を通らなきゃならんのだがな、この前大雨が降って、土砂崩れが起きちまって道がふさがってるんだ。だから普段閑古鳥が鳴いてるうちの宿でも宿泊客が多いーー」

「ーーあんた?」

「ーーコホン、まぁそんなわけで、土砂が撤去されるまでナザックに行くことはできないんだ」

「そうなんですか……」


なるほど……それじゃそれまで何もすることは……いや、まてよ?

あの洞窟はどうだろう。出口の方向とは逆側にまだ通路があった。僕が目覚めたのもそこだし、何かしらの手掛かりがあるんじゃないか?

その旨をアルドさんに伝えたところ、彼はこう返してきた。


「その洞窟はどこにあるんだ?」

「リッカさんを見つけた森よりも先に進んだところにもう一つある森の中ですね」

「それは……」


それを聞くとアルドさんは黙り込んでしまった。なんだろう?

そのまましばらく沈黙が続き、そしてその空気に耐えかねたかのようにリッカさんが話す。


「ココさん、そこってこの村じゃ『魔の森』って言われてて、魔獣が生息しているの」

「魔獣?」


聞きなれない単語を耳にし、リッカさんに尋ねる。

リッカさんいわく、魔獣とはそこらの獣より強く、危険な生き物だということらしい。

あまり実感はわかないが、あのハウンドウルフとかいう大きなオオカミがそうだったのだろう。

……あの時はあの黒い炎のおかげで何とかなったが、運が悪ければ僕はあの場で死んでいただろう。

あの黒い炎が自分で使えるようになれば、なんとかなるだろうが……。

そのまま沈黙していた僕を見て、何を勘違いしたのか、アルドさんが立ち上がり、奥の方へ歩いて行った。

そしてしばらくして、腕に何かを抱え戻ってきた。


「魔獣が出ると知ってもいくと言うのだったら何も言わん。だがせめてこれをもっていけ。持っていて損はないはずだ」

「これは……」


そのまま僕にそれを渡してくる。

それは、外套とグローブーー指ぬきグローブという奴だろうか?--、そして鞘に入った剣だった。


「俺は道具屋をやってるんでな。安物だが、ないよりはましだろう」

「……なんでこんなものを?」

「まぁ……リッカを助けてもらった礼だと思ってくれりゃいいよ」

「それは……ありがとうございます」


正直あって間もない人間に武器を渡すのはどうかと思うが……ありがたくもらっておこう。

その話はそれで終わり、そこからは食事が終わるまで他愛ない話が続くだけだった。


食事が終わり、みんなが寝静まったころ僕は一人起きて、ストラウト亭から外に出て開けた場所まで行った。

そこで、アルドさんからもらったグローブを嵌め剣を鞘から抜き、構える。剣自体は細身の全長1mと少しくらいの直剣だった。

正直剣なんか使ったことはないけど、とりあえずしっかり振れるようにはなっておいた方がいいだろうと考え、素振り等をしておくことにしたのだ。

ひとまず剣道でいう正眼に構え、振り上げて振り下ろす。この作業を何度も続ける。


「……ふぅっ、結構疲れるな」


しばらく振り続け、多少の疲労がたまったころに素振りをやめ別の作業に移る。

とりあえず剣をじっと見てみる。


【鉄の直剣】


すると、すぐにこんな文字が目の前に浮かび上がってくる。そう、作業というのは僕が今使える能力の把握だ。とりあえずいつまでもOOの能力というのは面倒なので、ついでに名前も付けておくことにする。

まずはこの文字の名前……まぁ『分析』あたりでいいか。

次は、周囲の状況を確認できる能力を発動……まぁ特に引っかかるものはないな。

それでこの能力は……『空間把握』……でいいかな。

まぁ、これで今使える能力はいいとしよう。本題に入ろう。

一番重要なのは炎だ。あれが出せる出せないで予定している洞窟の探索がうまくいくかどうかが決まる。

とりあえず自由に出せるようにならなければ……。


「……炎出ろ出ろ出ろ出ろ……」


とりあえず右手首を左手で握り、目を閉じて念じてみる。魔法はイメージだってどこかで聞いた気がする。

他の人が見たらただの危ない人のように見えるが今は夜なのでその心配はあまりない。なので僕は念じるのを続ける。

しばらくそれを続けていると、ふと右の手のひらに温かさを感じる。


「よしっ!」


目を開けてみると、右の手のひらに親指ほどの大きさの炎がゆらゆらと揺れていた。しかしその炎は黒くなく、ごく一般的な赤い炎だったーーグローブを嵌めているのに不思議と燃え移ることはなかった--。

だが、炎は出せたのだ。これに気をよくした僕は、炎を出す訓練を続けた。

その甲斐あってか、訓練をやめるころには人の頭の大きさくらいの炎を自在に動かせるようになった。このまま剣と炎の訓練を続ければ魔の森とやらに挑戦できるようになるだろう。ひとまず訓練を切り上げた僕は部屋に戻り、そのまま就寝した。


そして次の日、朝の仕事としてクレアさんに頼まれた水汲みの途中、村の広場で人が集まっているのが見えた。

どうやら広場の中央で誰かが叫んでいるのが気になり、みんなが集まっているようだ。

そして、広場で中心でとある男性がこう叫んだ。


「俺は見たんだ!人の頭くらいの炎がゆらゆらうごめいているのを!あれはきっと人魂だ!」

「……」


僕は即座に身を反転しその場を去り、仕事に戻ることにした。……申し訳ありませんでした。

アオイです。

最近金欠で困っています。

金欠といっても親からお小遣いはもらっているのですが、物を買う予定があるので使えない状態になってます。

こんな時に限って、読んでる本の新刊が出たりするんですよね。

続きが気になるやつの新刊だったらもうね……抗えないですよね?

ほんと金欠やばいです……贅沢言ってんじゃねーといわれるとどうしようもないですが、きついです……この際親に小遣いの前借でも……

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