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13.商業ギルドの武器屋にて

前回のあらすじ


クルス家でお世話になることになったココ。

その次の日に、カロルに案内され、レギオンにて傭兵登録を行う。

そして、ココはたまりにたまった魔獣の素材も売ることにした。

「いやー、かなりの額で売れたねー」

「……そだね」


レギオンで今までたまりにたまっていた魔獣の素材と魔石を売り払い、かなりの金額のお金を得ることができた。毛皮よりも魔石の方が基本高く売れていたな。まぁ、毛皮は衣服に使うくらいだろうし妥当なのだろうか? そんなことを思いながら、なぜかレギオン本部を出てからテンションの低いカロルを見る。


「……どうかした?」

「いや……ココって記憶喪失が関係しているのかは知らないけど非常識なんだなぁって」

「いきなりどしたの?」

「……だってさぁ?」


そう尋ねると、吐き出すようにカロルが言う。


「先祖返りはただでさえ珍しいのに、その上空間魔法が使えるんでしょ? 普通あんなにポンポンと見せる者じゃないと思うよ?」

「そういうものなの?」

「そういうものなの! ココは気づいてないかもしれないけど、周りにいた傭兵の人たちが獲物を見る目でこっちを見てたんだよ。おかげでこっちは針の筵というかなんというか……」


そういってカロルは俯く。その様子を見て、少し悪い気になる。あ、ちなみに空間魔法っていうのは《収納》のような魔法の通称らしい。ここであと3つ違う魔法が使えるって言ったらどうなるか気になるが、それは置いておくとしよう。


「ところで商業ギルドってのにはまだ着かないの?」

「……もうすぐ着くよ」


あ、なんかダメだこの人っていう感じでため息つかれた。解せぬ。



「ーーついたよ。ここが商業ギルド」

「へー……」


ギルドというから、大きな建物でもあるのかと考えていたのだが、カロルに連れていかれたところは大通りから少し外れた商店街だった。右の店に防具の店があればちょうど反対側が武器の店になっていたり、その隣には薬屋と、様々な店が軒を連ねていた。ここに連れてきてもらった理由は買い物。お金が入ったので日用品などを買いそろえたいとカロルに行ったところ、ここならまとめて買えると言われたわけだ。

さてと、それじゃまずは……


「武器屋に行ってみようか」

「さっそく日用品(本題)から逸れたね」


呆れたように言ってくるカロルを無視して、近くにあった武器屋に入った。


「こんにちわー」

「あ、はーい。いらっしゃいませ。何か御用でしょうか……ってカロル! いらっしゃい! 久しぶりね!」

「あ、うん久しぶり。ライネ」


店に入るとカロルと同じくらいの少女が対応してくれた……かと思ったらカロルの姿を見つけてそちらへ走っていった。二人は仲よさそうに手を握り合っている。……ほう?


「ほんと久しぶりだよ! なんで顔を見せに来てくれないの!」

「いや……なかなか機会がなくって」


二人は仲よさそうに手を握り合っている。大事なことなので二回言いました。……ほうほう?


「おうどうしたライネ? 客か?」

「お父さん! カロルが来てくれたの!」

「あぁ……カロルが来たのか……って普通に客も来てるぞ」


店の奥の方から一人の男性が出てきた。どうやらライネちゃんの親御さんらしい。僕の姿を見つけた彼に一応会釈をする。ライネちゃんはカロルとの話を続行しているのでこちらに対応してもらうとしよう。邪魔するのもあれだしね。


「どうも、ココといいます」

「あぁ、フォルド武具店へようこそ。おれはクラインだ。ライネが悪かったな」


【ヒューマン:クライン・フォルド】


店主らしき人物、クラインさんに要件を話す。


「今日は剣を見に来たんです。前に使ってたのはもう使えなくなっちゃいまして……」

「剣ねぇ……剣といっても色々あるからな。どれだ?」


そう言ってクラインさんは店に並べてる様々な剣を指し示す。たしかに剣だけだといろいろ種類があるな。たしか前に使っていた剣の種別は……


「これくらいのものですね」


手近なところにあった。前使っていた鉄の直剣と似たような剣を指さす。


「なるほどなぁ……で、条件は?」

「条件?」

「あるだろう? 幾らくらいのものかーとか、こんなことができたらいいなーっていうの」

「あぁ……」


たしかに懐事情は考えたほうがいいだろう。……こんなことができたらいいなーってなんだ? 斬る以外に何か機能が付くのだろうか?


「……あぁ、内で作ってる武器はだいたい素材によって付与効果が付いたりするんだ。ちょっとした身体強化とかな」

「へー……」


魔動具といい、便利なものが多いんだなぁ。


「なら、火に強いものとかありますか?」

「火ぃ? あるにはあるがなんでそんな……」

「こういうことでして……」


そういって指を立ててその先にぽっと火をともした。それをみたクラインさんは目を見開いて驚くが、すぐに調子を取り戻す。


「前に使ってた剣は火力に耐えきれなくてボロボロに崩れちゃったんですよねぇ」

「なるほどなぁ……てか、なかなか無茶な使い方したな」


そういいつつ、クラインさんは店の奥へ行き、少しして鞘に入った一本の剣を持ってきた。


【竜鱗の剣】


赤銅といえばいいのだろうか? 鞘から抜けば、赤みがかったそのきれいな剣が姿を見せる。


「昔伝手で手に入った飛龍(ワイバーン)のうろこを使ってできた剣なんだが……あいつらは火を吹いたりするから火には強いと思うぞ」

「へぇ……いいですね」


実際切れ味もかなりのものだろう。ちょっと、いや、かなり気に入ったかも……

その刀身をじっとみながら、クラインさんに尋ねる。


「これ、いくらですか?」

「金貨百枚とちょっと」

「……お返しします」

「おう」


それを聞いて、そっと剣を鞘に戻して丁重に、それはもう丁寧にクラインさんに手渡した。

金貨百枚はダメだ。とても買えたものじゃない。魔獣たちの素材を売って金貨30枚ほどもらって浮かれててごめんなさい。そもそもシルがいるから武器はいらないかもしれないけど……その武器であるシルが現在進行形で近くにいないことでいろいろと察してほしい。そもそも人が剣に変わるところはさすがにそうやすやすと見せてはいけない気がする。


「ちゃんと自分の身の丈に合ったものを買えよ? まだ(アイアン)ランク何だから」

「はい……」


仕方ない、とりあえずそこで売ってる普通の鉄の直剣を買わせてもらうとしよう。


「それじゃこのーー」

「ーー父さんをバカにするな!」


鉄の直剣を下さいと言おうとしたところ、先ほどまでライネちゃんと楽しそうに話していたはずのカロルの怒声が聞こえてきた。何事かと振り向いてみると、なにやら大人3人にカロルとライネちゃんが囲まれていた。……何事?

アオイです。

今週から不定期から水曜日の定期連載としたいと思います。

これで更新頻度もあがる……あれ?

最近4日に一回更新→1週間に一回更新

……むしろ更新頻度落ちてね?

……あっはっは(とりあえず笑ってごまかしとけ)

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